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レーヴァティン
第二百六十五話 西から去りその三

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「あれを出す」
「すき焼きか。いいのう」
「そうだな」
「あれは最高の馳走の一つぜよ」
 当季は笑って述べた。
「もうそう言ってぜよ」
「差支えないな」
「そこまでのものぜよ」
 だからだというのだ。
「そう思うぜよ」
「俺もだ、だが」
「だが。何ぜよ」
「すき焼きも好みが分かれる料理ぜよ」
「調理の仕方でだな」
「そうぜよ、地域によってぜよ」
「この浮島でもな」
「何かと分かれるぜよ、中にはのう」
 当季は嫌そうな顔になった、そしてこうも言った。
「魯山人がどうとか言ってのう」
「しゃぶしゃぶと合わせただな」
「しゃぶすきがいいとかのう」
「ふざけた漫画を読んでだな」
「知ったかぶりする奴がいるぜよ」
「あの漫画を読むと馬鹿になる」 
 英雄は一言で言い切った、これまで何度か話してきたその漫画のことをここで忌々し気に話したのだった。
「碌でもないことしか描いていないからな」
「その通りぜよ」
「読むとだ」
 それこそというのだ。
「その前に知識を持つか後で勉強しないとな」
「鵜呑みにしてぜよ」
「そしてだ」
 そうなってというのだ。
「悪影響を受けてな」
「アホになるぜよ」
「正真正銘のな」
「幾ら学校の成績がよくてものう」
「愚か者は愚か者だ」
 英雄はまた言い切った。
「それとまともな知識や教養、思考があるか」
「別のことじゃ」
「だからだ」
 それでというのだ。
「あの漫画はまともなことを描いていないからな」
「それを鵜呑みにするとな」
「馬鹿になる」
「そうじゃのう」
「それになる」
「ああした漫画を読むとのう」
「そもそも登場人物は多いが」
 長い連載のその中でだ。
「それが全て極端に短気で無教養な野蛮人ばかりだ」
「その時点でおかしいぜよ」
「だからだ」
 それでというのだ。
「あの漫画の言うことはだ」
「相手にしないことぜよ」
「試しに検証するとだ」
 その結果はインターネットでこれでもかという程に出ている、それだけこの漫画が出鱈目で間違いに満ちているということだ。
「幾らでもだ」
「出て来るからのう」
 当季もこう言った。
「だからのう」
「あの漫画のことはな」
「肝心の食いもののことでもぜよ」
「参考にしないことだ」
「アホになるきに」
「そうなりたいなら読むことだ」
 愚かになりたいならというのだ。
「確実にだ」
「そうなれるのう」
「何よりもな」
「だからぜよ」
 まさにというのだ。
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