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TARI TARI +TARA
飛び出したり 誘ったり 飛びかかったら その4
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への送る言葉を色彩豊かなチョークででかでかと書いていたり、互いのプレゼントについて話し合ったりしている。
これは早いうちに課題を済ませなければ、一時間目には間に合わなくなってしまう。
なるべく足音を立てず、しかし歩調は早めにして自分の席に着いた。
やっとこさ、という思いで蓮の花束を机に置くとショルダーバッグも下ろして椅子に腰掛ける。
しかし、課題のプリントを探して引き出しの中を漁りはじめたところで、また後ろから声をかけられた。

「津川、おはよー」

「あ……お、おはよう」

張りのある元気な声に、一瞬だがうろたえてしまったのがばれてないだろうか。頭だけ動かして視線を向ければ、そこにはやはり、顔見知りの女子の姿が。
切りそろえられた前髪に波打つ後ろ髪は二つに結ばれて肩の前に流され、女子の内では背の高いスラリとしたスタイルが彼女を少し大人っぽく見せている。
よく見れば、彼女の後ろからは声楽部の朝練を終えたらしい来夏がついて来ている。「おっす」と今日で二回目の挨拶をしてきた。ほのかに水気のあるふわりとした香りが鼻に入ってきたと思えば、その腕には来夏のカーネーションと一緒に、一抱えほどの多さの紫陽花の花束があった。しかしその淡い紫色の花弁とは対象的に、包んでいるのはシワのよった新聞紙だった。たぶん、先ほど挨拶した女子が用意したものだろう。

「ねぇ、ちょっとこれのラッピング手伝ってくれないかな? こういうの得意でしょ?」

「得意って言った覚えはないんだけど……まあ、いいよ」

NOとは言えない日本人、という言葉が頭の中をよぎった。
仕方が無い。この課題は後回しにして、最悪適当な答えを書いてから0点を覚悟のうえで提出するとしよう。
そう思い直して、衛太郎はくだんのクラスメイトーー沖田 紗羽の席に歩み寄った。
よく見ればその後ろにいたのは、数十分ぶりに見る和奏だった。普通科の制服を着た生徒の中にひとりだけ音楽科の制服なので、すぐに見分けがついてしまう。来夏や紗羽と同じタイミングで来たようだが、和奏は誰かと話すでもなく、淡々と自分の席に着く。
黒板にメッセージを書きたしていた女子から紗羽に声が飛んでくる。

「紗羽ー。こっちも手伝ってー!」

「はーい。ちょっと待ってー」

どうやら、紗羽の方も忙しいようだ。これはますます急がなければなるまい。

「沖田さん。包むのはわかったけど、紙とかテープとかはどうする……?」

「心配ご無用ーーじゃーん」

と軽快なノリで紗羽がカバンの中から取り出したのは、ピンクにフリル付きのリボンで筒状に巻かれた黄色いシートだ。

「それじゃ津川、ちょっとあっち手伝ってくるから、先に来夏と一緒に包んどいてくれる?」

「宮本と……? まあ、いいけど……」

「お願
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