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第四十話 期末テストを前にしてその六

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「物凄く厳しくてしっかりしてるから」
「あそこまでなのね」
「数は少ないけれどね」
「それ日本軍もよね」
「実は人口と比べてよ」
「数は少なかったのよね」
「日本軍もね」
 かつての彼等もというのだ。
「作家さんの経歴見たらわかるわよ」
「戦前の?」
「兵隊さんになった人少ないから」
「徴兵制だったのよね」
「それでもね」
 志願制ではなくだ、海軍は志願制であったが陸軍は徴兵制であったのだ。
「皆が兵隊さんになったかっていうと」
「違ったのね」
「志賀直哉位よ」
 徴兵で兵士になった作家はというのだ、城の崎や和解で知られる作家であり私小説の大家として知られていた。
「芥川も太宰もよ」
「兵隊さんにはなってないの」
「森鴎外は軍医さんだったけれどね」
 それでもというのだ。
「兵隊さんじゃないし」
「お医者さんで」
「あと夢野久作もいたけれどね」 
 彼は陸軍少尉であった。
「全体で見るとね」
「兵隊さんになった人少ないの」
「作家さんでね、その志賀直哉だってね」
 その彼もというのだ。
「兵隊さんになって軍服でドヤ顔の写真あるけれど」
「なれて嬉しかったのね」 
 富美子はドヤ顔と聞いて述べた。
「そうだったのね」
「あの人武士の家だったからね」
 仙台藩の家老の家の出である、その為生活も裕福であった。
「それで余計にね」
「兵隊さんは武士だから」
「それで誇らしく思っていたけれど」
 ポーズを付けた写真まで残っている位である。
「それでもすぐに除隊させられたの」
「辞めさせられたの」
「そうなの、耳が悪いからってね」 
 そう言われてだ。
「除隊させられたのよ」
「そうだったのね」
「身体検査が物凄く厳しくて」
 それでというのだ。
「日頃の行いがよくないとね」
「入られなかったの」
「もうちょっと何処か悪かったり」
「行いが悪いと」
「アウトだったのよ」
「兵隊さんになれなかったの」
「そうよ、中原中也なんてね」
 当時から見てもかなり小柄でしかも放蕩で知られた彼はというのだ。
「絶対によ」
「兵隊さんになれなかったの」
「そうよ、夏目漱石さんだってね」
 彼は北海道に移住して徴兵を逃れたことがある。
「結核の疑いがあったから」
「それでなの」
「アウトだったのよ」
「そうだったのね」
「そう、むしろ自衛官になるよりね」
「兵隊さんになることは難しかったの」
「それで厳選した人達をね」
 徴兵検査でそうして入隊させてだ。
「徹底的に鍛えていたから」
「強かったのね」
「そうよ、それで自衛隊の赤点は」
「江田島だと六十点ね」
「滅茶苦茶厳しいでしょ」
「私相当危ないわよ」
 富美子は姉に目を顰めさせて返した。
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