第一章
[2]次話
バウンサーさんのお話U
バウンサーさんは奥さんに頭が上がりません、それで兄弟であるピーターラビットのお父さんにもぼやくのでした。
お二人は今森のパブで飲んでいます、並んで一緒にカウンターの席に座ってスコッチをロックで飲んでいます。そうしながら言うのでした。
「兄弟、わしはどうしてもだよ」
「奥さんに逆らないんだな」
「そうなんだよ」
「兄弟は相変わらずだな」
ピーターラビットのお父さんは飲みながら言いました。
「奥さんにはだな」
「ああ、全くな」
バウンサーさんも飲みながら言います。
「頭が上がらないんだよ」
「そっちの奥さんは相変わらず強いか」
「わしが何か言ったらだよ」
そうしたらというのです。
「何倍にも返ってくるんだよ」
「二倍三倍か」
「五倍位にだよ、だからだよ」
それでというのです。
「わしは言えなくて」
「頭も上がらないか」
「完全に尻に敷かれているよ」
自分から言うのでした。
「そうなっているよ」
「結婚してからずっとだな」
「そうだよ、兄弟のところもかい?」
「当たり前だよ、かみさんに逆らえる亭主がいるか」
ピーターラビットのお父さんはこう返しました。
「それこそ」
「そういうことだな」
「わしも同じだよ」
「あの奥さんに逆らえないか」
「全くな、しかし兄弟のところはな」
「特にだな」
「凄いみたいだな」
こうバウンサーさんに言いました。
「どうも」
「そうだよ、だからな」
「今日はこうしてだな」
「兄弟と一緒に飲みながらな」
「愚痴っているんだな」
「そうだよ、他の兄弟にもそうしているが」
それでもというのです。
「やっぱり兄弟とはな」
「特にか」
「子供の頃から気が合うしな」
「愚痴るんだな」
「嫌なら断わるか聞き流してくれ」
「いいさ、兄弟とは生まれた頃からの付き合いだ」
ピーターラビットのお父さんは笑って応えました。
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