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星河の覇皇
第八十二部第三章 国債の発行その二十三

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「上演の機会が多いので」
「モーツァルトは不滅ですから」
 ローエンハイムはオーストリアの者として誇らしげなものを感じつつ応えた。この時代でもモーツァルトはオーストリアの誇りなのだ。
「ですから」
「彼の作品は、ですね」
「何時の時代でもです」
「音楽のジャンルを問わずですね」
「オーケストラもピアノも」
 そしてというのだ。
「歌劇も」
「そうですね、そして私もです」
「フィガロの結婚をですね」
「よく観ます、ですが」
「その次位にですか」
「ペレアスを観ているかも知れません」
 こう話すのだった。
「どうも」
「左様ですか」
「モーツァルトやロッシーニと比べると上演の機会は少ないですが」
「やはりこういった作曲家の作品が多いですね」
「歌劇の上演は」
「はい、ですが」
 それでもというのだ。
「私の場合はです」
「ドビュッシーのですね」
「ペレアスをです」
 よく、というのだ。
「観る機会があり」
「考えられていますか」
「ですがそれでもです」
 観て考えようともというのだ。
「答えはです」
「まだ出ていませんか」
「どうにも」
 シェリーニはローエンハイムに複雑な表情で答えた。
「これが。ですが」
「この度もですか」
「観劇し」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「答えを出そうとですか」
「努めます」
「左様ですか」
「ライフワークになろうとも」
「これからもですか」
「観るつもりです」
 今度は決意として述べた。
「そのつもりです」
「それでは」
「今宵はこの星のご領主も来られます」
「アプローズ男爵がですか」
「男爵もご多忙とのことですが」
 それでもというのだ。
「今宵はです」
「観劇されますか」
「忙しい時こそ文化は楽しむものである」
 この言葉もだ、シェリーニは出した。
「それが貴族ですね」
「はい、貴族ならば」
 どうかとだ、ローエンハイムも答えた。
「多忙であれば」
「それならばですね」
「尚更です」
「文化を楽しむ」
「そうすべきと言われています」
「ですから」
 それでというのだ。
「男爵もです」
「ご多忙の中を時間を割かれて」
「そしてです」
「観劇ですか、そう思いますと」  
 どうかとだ、ローエンハイムは述べた。
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