第七十二話 満ち足りた夏休みその十三
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「何を書いてるかわからない文章書いてたそうだから」
「ああ、ラノベでもありますね」
「あるの」
「登場人物に小難しい長文一気に言わせて」
その様にしてというのだ。
「それを読者さんに読ませて」
「ああ、それでその文章を読んで理解してもらって」
「この文章があるこの作品書いた作者さん凄い」
「そしてその作品理解してる自分凄い」
「そう錯覚させるのと一緒ですね」
咲は先輩に言った。
「要するに」
「わからない文書ってそこに凄いものがあるってね」
「勝手に考えますね」
「それで理解したら」
「凄いものを発見した自分凄いですね」
「そう錯覚するから」
その様になるからだというのだ。
「吉本隆明はね」
「持て囃されたんですね」
「そうみたいよ、けれど文章はわかりやすく書くもので」
実は小難しい文章はちょっとしたことで書けるという、漢字や横文字の単語を適当に羅列すればもっともらしくなる。中沢新一の文章も然りだ。
「真理もよ」
「わかりやすいんですね」
「明白なものよ」
「それは聞きますね」
「そんな小難しいものじゃないから」
真理はというのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「吉本隆明はね」
「読まなくていいどころじゃなくて」
「読む価値ないから」
「じゃあ私実際に」
「あっ、自分で判断してね」
先輩はここで咲に忠告した。
「人が言うことを聞いてね」
「そのうえで、ですか」
「自分で調べて見極めてね」
「判断することもですか」
「大事だから」
それでというのだ。
「ちゃんとね」
「自分で、ですか」
「調べてね」
そのうえでというのだ。
「見極めてね」
「そうします」
咲もそれではと頷いた。
「私も」
「ええ、じゃあね」
「そうしていってですね」
「吉本隆明もね」
この思想家についてもというのだ。
「判断してね」
「そうします」
咲は先輩の言葉に頷いた、そして少し時間を割いて吉本隆明について調べた、そうしてから彼女なりの判断を下したのだった。
第七十二話 完
2022・7・23
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