第七十二話 満ち足りた夏休みその十一
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「ですから」
「忘れても仕方ないかしら」
「私第一部から読んでますが」
十九世紀のイギリスが舞台である。
「それでも私もです」
「忘れてること多いのね」
「はい」
実際にというのだ。
「ですから」
「私もなのね」
「長いですからね」
このシリーズはというのだ。
「しかもアクの強いキャラばかりで」
「脇役でもそうよね」
「もう誰もがです」
作品の登場人物全員がというのだ。
「インパクトがあるというか」
「あり過ぎるわね」
「そんな作品でして」
「もう台詞もね」
「インパクトのあるものばかりで」
「多過ぎて」
「忘れるものも」
そうしたキャラや台詞もというのだ。
「あってもです」
「不思議じゃないのね」
「あのシリーズについては」
「三十年以上続いてるしね」
「仕方ないです、ただ」
「ただ?」
「あの漫画凄い教訓が多いですよね」
咲はこのことを今実感した。
「本当に」
「ええ、只の娯楽漫画じゃないわね」
「読んでいると」
「物凄く沢山のことがわかりますね」
「そうした作品よね」
「はい、本当に」
咲もその通りだと頷く。
「だからずっと読んでいます」
「下手な思想書よりずっといいわよ」
「思想書読むよりも」
咲はここでこう言った。
「小説や漫画やゲームの方がいいらしいですね」
「人生の勉強にはね」
「思想書にもよりますが」
「何があっても駄目なのは吉本隆明ね」
「その人の本はですか」
「何言ってるかわからないっていうかカルト教団の教祖を最も浄土に近いとか言う馬鹿だから」
このことは本当のことだ、その程度の輩が戦後最大の思想家であったのだ。
「だからね」
「読まないことですか」
「全くね」
「あの、さっきカルト教団がって」
「あのテロ起こしたね」
「ああ、あの」
「小山さんも知ってるでしょ」
先輩は真顔で問うた。
「鳥みたいな名前だったね」
「拉致とか洗脳とかサリンとか」
「あの団体よ」
「あそこは今も言われてますが」
それで咲も知っている、それで言えた。
「とんでもないところですよ」
「そこの教祖をそう言ったのよ」
「滅茶苦茶酷い奴だったそうですが」
「その教祖をそう言ったのよ」
「信者さんにまずいもの食べさせて」
咲は知っていることを言った。
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