第七十二話 満ち足りた夏休みその九
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「駄目よ」
「それは駄目ですか」
「それで一日二十時間労働なんてなったら」
「ボロボロになりますね」
「最悪過労死よ、というか」
先輩はここで自分の言葉を訂正して咲に話した。
「ほぼ確実にね」
「過労死しますか」
「その人も危なかったから」
過労死する危険があったというのだ。
「大体殆ど寝てないでしょ」
「一日二十時間労働だと」
「それで過労死しない筈がないわ」
「やがてそうなりますね」
「毎日でなくてもそれが結構あって」
そうした過剰というのもおこがましいまでの勤務がというのだ。
「他の日もね」
「勤務時間長かったんですね」
「そんな状況だとね」
「本当に過労死しますね」
「そうなっているわよ、死んだらね」
それこそとだ、先輩は咲に話した。
「それで終わりだから」
「そこで、ですね」
「そうよ、その人生はね」
それでというのだ。
「終わりだから」
「それで、ですね」
「そうしたところには最初から入らない様にね」
「事前に調べることですね」
「最初から悪評が立っていたら」
そうした企業はというのだ。
「もうね」
「最初から行かないことですね」
「願書を提出する時点でね」
入社に至る最初の時点でというのだ。
「避けることよ」
「もうそこで、ですか」
「そうよ、さもないとね」
「若し入ったら後悔しますか」
「一日二十時間は極端にしても」
それでもというのだ。
「休みなしで福利厚生考えてないでね」
「ずっと働けないですね」
「会社によっては身体全体ずっと使う夏だと脱水症状になりそうな肉体労働で」
そうした仕事でというのだ。
「十二時間とかね」
「私それ絶対無理です」
運動が苦手な咲はすぐにと答えた。
「もう」
「小山さんはそうなのね」
「運動苦手ですから」
自分でもこう言った。
「ですから」
「そうしたお仕事は無理なのね」
「腕力も体力もないですから」
だからだというのだ。
「とても。ただどんな肉体労働ですか?」
「ずっと重いもの運んでフォークリフトも動かして棚入れ棚卸しあとしゃがんでの床拭きとかね」
「どれもですか」
「駐車場のお掃除とかね」
「そういうの全部ですから」
「それでサービス残業でお仕事の勉強とか。商品のチェックだと朝までよ」
「そこもブラックですね」
咲はここまで聞いて眉を曇らせて述べた。
「一日二十時間程でなくても」
「そっちは事務だったらしいけれどこっちは肉体労働でよ」
「それで朝までとかですか」
「しかも中々正社員になれないそうよ」
「そんな会社誰が行くんですか」
眉を曇らせたまま言った。
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