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星河の覇皇
第八十二部第三章 国債の発行その二十

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「ありません」
「それは何よりです」
「エウロパ人ならこれ位は大丈夫というのが普通でしょうが」
 ここでシェリーニはこんなことも言った。
「ですが連合軍は大丈夫どころか」
「ワインどころかブランデーをです」
 蒸留酒、ワインよりも遥かにアルコール度の強い酒をというのだ。
「五本空けてもです」
「まだ飲むと」
「そうした者すらざらでした」
「大柄な者達が多いですが」
 連合市民の平均身長は成人男性で百九十だ、エウロパ市民成人男性のそれよりも十センチ程度高い。
「そのせいでしょうか」
「はい、とかくです」
「飲む方もですね」
「とんでもないもので」
 その飲む量はというのだ。
「それで当店でもです」
「お酒を飲み尽くした」
「そうしました」
 まさにというのだ。
「食べ尽くすだけでなく」
「そこでも迷惑をかけましたか」
「セーラー服の者達が来て」
 連合軍中央政府兵士のことだ。
「食事の量が少ない、味付けが薄いと言いつつ」
「食べ散らかし」
「そしてです」
 ローエンハイムはまた酒の話をした。
「そちらもです」
「その様に、ですか」
「飲み尽くしました」
「厄介なことですね」
「全く以て、ですが」
「それでもですね」
「それでいて金払いは完璧でした」
 連合軍の兵士達はというのだ。
「まさに」
「他のお店でもでしたね」
「何処に行くにも」
 それこそというのだ。
「お金は払っていました」
「それもユーロで」
 エウロパの通貨だ、二十一世紀から使用されていてこの時代でも通貨の単位として使用されているのだ。
「テラを換算したとか」
「エウロパに合わせて」
「そうしたところはです」
「律儀でしたか」
「そうした国でした」
「野蛮であっても略奪はしない」
 勿論暴行もだ。
「国際法も守る」
「癪でありますね」
「またそう思ってしまいますね」
 二人で頷き合った、そうしてデザートのケーキを渋みの強いワインと共に楽しむがその組み合わせについて。
 シェリーニは一口ずつ味わってからローエンハイムに話した。
「ケーキと一緒に飲むお酒となると」
「赤ワインですね」
「それもかなり渋い」
「甘いケーキとです」
 微笑んでだ、ローエンハイムも一口ずつ楽しんでから答えた。
「渋いワインの組み合わせは」
「赤のそれは」
「それはです」
 まさにというのだ。
「甘いワインよりもです」
「合うのですね」
「他のデザート、ケーキもそうですが」
 ローエンハイムはさらに話した。
「それはわかりませんが」
「このケーキはですか」
「渋いワインです」
「この赤ワインですね」
「そうです」
 この組み合わせだというのだ。
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