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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
成長
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た。

「どうしたんだ?あいつ」
「急に野球やりたいなんて……珍しいよな?」
「……なんかあったな、こりゃあ」

あいつのことをよく知っている面々は何かがおかしいことは理解していた。しかしそれが何なのかわからない。調べようにもまだ大事な決勝戦を残している俺たちはすぐにそれに着手することもできなかった。

(本気だとは思えないが……大会が終わったら帰国してやるか)

それから約一ヶ月後、甲子園大会を終え遅めの夏休みをもらった俺たち。その期間を利用し久々に帰国すると、黙々と走り込みをしているソフィアの姿があった。
一ヶ月も何かが続いた彼女の姿を見たことがなかった俺たちは驚愕した。周りの人間に聞いても雨の日も毎日続けていると聞きますます疑問が深まり、彼女に問いかけた、

「ソフィアが……お姉ちゃんを全国に連れていくの」

その時だった。大会の最中にリュシーが肩を壊してしまったと聞いたのは。

















ノーアウトランナー一、二塁。ピンチではあるが落ち着きを取り戻したソフィアを見ればこの程度のピンチは何てないことだと思ってしまう。

(チームの勝利を優先したあまり自身の異常に気付けなかったリュシー。その姿を見たからこそ、ソフィアはあいつを勝たせたいと思ったんだろうな)

あいつが本気であることを察した俺はあの日から練習メニューを与えてやらせ続けてきた。定期的な報告でも飽きることなく続けられることに感心しつつ、俺自身もある決意を固めた。

(この大会でお前ら二人を全国に送り出してやる。そのために俺はプレイヤーを一度休業してるんだ。生半可な真似するんじゃねぇぞ)

俺の睨みに気が付いているのか、リュシーが一度こちらを見てからソフィアにサインを送る。この場面、理想はゲッツーだが最悪1点は取られたって構わない。次はソフィアからだ。すぐに勝ち越せる……はず!!

そんな思考をしている俺だったが、リュシーは慎重なのか二球続けてスプリットが外れて2ボールとなってしまう。

(おい、リュシー)

カウントが悪くなると甘いボールが狙われやすい。相手は打席の最前部に立っている。ムービングは通じない。かといってこのカウントでは厳しいコースは振ってこない。

(ここは球数を使ってもいい。甘くは入れるなよ)

ムービングを際どく、ただしストライクに入れていくしかない。最悪満塁でも構わない。そう思っていたがリュシーは思わぬ行動に出た。

(中腰?)

サイン交換を終えると中腰に構えたリュシー。それがどういうことなのかすぐに理解できた。

(高めのストレート?なんで?)

見送られればさらに窮地に追い込まれる。それなのにここでなおもボール球を要求する意味がわ
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