第十二話 ジェーン=グレンの処刑その四
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「ましてやそこに意図的な印象操作が加わるのなら」
「より深刻ですね」
「人を愚かにし世を惑わす」
「まさに悪魔の囁きになりますね」
「そう。だから僕はこの国のマスコミは信用しないよ」
「とりわけテレビはですね」
「そうだよ。ではいいかな」
マスコミの話からだ。それからだった。
十字は学校に向かうことにした。その白い端整な制服を着てからだ。彼は登校した。その時にだ。
校門のところで雅を見た。猛と一緒だ。だがその雅の顔はというと。
蒼ざめ俯いていた。目も疲れている。十字はその彼女を見てこう声をかけた。
「おはよう」
「えっ・・・・・・」
「おはよう、宮本さん」
「え、ええ」
雅は驚いた顔になり十字に応えた。そのうえで彼に対して静かに、だが少しだけ頭を下げてそのうえでだ。こう挨拶を返してきたのだった。
「おはよう、佐藤君」
「今日は少し天気が悪いけれど」
空は曇っていた。今にも泣きだしそうな天気である。
「頑張ろうね」
「ええ、そうね」
「今日は朝練は」
十字は部活の話をした。だが雅はまた俯いてしまった。しかしだ。
その彼女にかわってだ。猛が十字に答えた。
「雅が調子が悪いってね」
「身体の調子が」
「うん、だから今日は休んだんだ」
「江崎君もかな」
「うん、僕は付き合いでね」
それでだというのだ。猛はその俯いている雅を見ながら十字に話す。
「それで休んだんだ」
「そうしたんだね」
「雅最近体調がよくないみたいで」
「身体の調子がかな」
「身体だけじゃなくて。だから今日は大事を取ってなんだ」
猛は真相に気付かないまま十字に話していく。
「それでなんだ」
「そう。だから今日は」
「うん、けれど雅どうしたの?」
真実を知らないままでだ。猛はその雅にも尋ねた。
「最近。殆ど寝てないみたいだし」
「別に」
「何ともないの?」
「ええ、ないわ」
そういうことにだ。雅は無理にした。
「だから心配しないで」
「だといいけれどね」
猛は雅を心配しながらこう言った。しかしだった。
十字はその雅にだ。静かな声で告げたのだった。
その俯いている雅に対して表情、やはり顔にも声にもそれはない。だがそれでもだ。雅に言ったのだった。その言った言葉とは。
「宮本さんにも加護があるよ」
「神様の?」
「そう。神は善人は必ず救われる」
そうするというのだ。神は。
「だから。今は心をしっかりと持つことだよ」
「私もそうなのかしら」
「そう。決して絶望することはないんだ」
「だといいけれど」
そう言われてもだ。今の雅は十字が言う神という存在に
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