第三十五章 あなたの作る世界なら
[2/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
サキが一人で苦労を抱え込んで疲労にダウンしてしまい、まともに動ける状態じゃあなかったため、あたしと治奈の二人で。
タイミングとしては追って正解だった。
いやちょっと遅かったか。
至垂が実は生きていたのか、それとも死から蘇ったのかは分からないけど、とにかくシュヴァルツがその至垂の巨体を乗っ取って一つになってしまっていたからだ。
正確には、乗っ取ろうとしてやり合っていたとこ利害一致で共生したということらしいが、そんなことたどうでもいい。大切なのは、あいつらが手を組むという、想定しうる最悪の事態が起きてしまったということ。
だからあたしたちは、生まれてしまった怪物を倒すため必死に戦った。
アサキを呼びに行く猶予など、なかったから。
仮に呼んでも、疲労に身体がまともに動く状態ではないと思ったから。
でも、分かっていた。
アサキに頼ろうとしなかったのは、そんな理由ではないことを。
自分たちは足手まといなんかじゃない。
そう、思いたかったんだ。
疲労だろうが怪我してようがアサキの方が遥かに強いのに。
実際、あたしらがまるで歯が立たなかった相手を、疲れてボロボロのアサキが簡単に倒してしまったというのに。
ならアサキを頼る時間稼ぎこそすべきだったんだ。
あそこで無茶をしちゃあいけなかったんだ。
あたしらは凡人で、アサキは超人で。そこを認めたって、親友という関係は揺らぐものではなかったのに。
ふう、
小さなため息を吐いた。
「しかし、すっげえパワーが宿ってたよな」
いつまでこうしていても仕方ないと思って、カズミは話題を変えた。
罪悪感をそのままにしておくのも嫌だったけど。
すっげえパワーとは、至垂シュヴァルツを倒した時に、アサキが見せた力のことだ。
疲労に立っているのもやっとだったアサキが、真っ白な輝きに包まれたかと思うと、あっというまに劣勢を挽回し、宿敵をいとも容易く倒してしまったのだ。
「……きっと治奈ちゃんが、力を貸してくれたんだ」
アサキは、泣き腫らした顔に僅かの笑みを浮かべた。
「違います。分散所持していた能力が、持ち主に戻っただけです」
白い衣装の少女ヴァイスが、小さなでもはっきりとした声で否定する。
「え……」
アサキとカズミは、同時に声をあげていた。
「もともと、アサキさんが持っていた能力だといっています」
ヴァイスは、え、に対して回答した。
「いや、だからそれ、どういうことだよ?」
その能力を制御出来ずに、治奈の身体はボロボロになったのだ。
制御が出来ずとも知ってさえいれば、ああまではならなかったかも知れない。
死なずに済んでいたかも知れない。
そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ