第一章
[2]次話
夫の実家
神戸流花は北海道の小樽に夫の孝允と二人で住んでいる、流花は四角い感じの顔できりっとした眉と目で黒髪を肩の長さで揃えている。背は一六〇程で肉感的なスタイルだ。
その彼女がふと家で夫に問うた。
「私の実家には毎年帰ってるけれど」
「函館のな」
「あなたの実家には帰らないわね」
「無理だろ」
夫は眉を顰めさせて答えた、やや細い顔で細長い眉に大きな切れ長の目だ。口は小さく癖のあるやや長い黒髪である。職業は寿司職人である。
「流石にな」
「鹿児島だから」
「正反対だろ」
まさにというのだ。
「場所がな」
「ここは北海道でね」
「そんなのだからな」
「あなたの実家には帰らないのね」
「俺だって帰りたいかって聞かれたらな」
夫は妻に考える顔で述べた。
「やっぱりな」
「帰りたいのね」
「実家だからな、高校出て料理の専門学校入ってな」
「卒業の時にね」
「こっちに就職の話があってな」
そうしてというのだ。
「その給料がよくて」
「寮も完備で」
「福利厚生もしっかりしてたからな」
だからだというのだ。
「就職してな」
「OLの私と合コンで知り合って」
今も働いている。
「それでね」
「結婚したけれどな」
「鹿児島は遠いから」
「だからな」
それでというのだ。
「こっちに来てからな」
「帰ってないのね」
「ああ、それでな」
そのうえでというのだ。
「結婚してからもな」
「帰らないのね」
「鹿児島でも特に端っこだからな」
「余計になの」
「ああ、時間もお金もかかるしな」
帰るとなると、というのだ。
「俺も北海道に馴染んだし」
「帰らないの」
「よっぽどのことがないとな」
「けれどお義父さんやお義母さんが」
「どうしてもっていう時は帰るさ」
その時はとだ、妻に話した。
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