第十一話 ノヴォデヴィチ女子修道院のソフィアその十七
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がどろどろと流れ出た跡がはっきりと残っている。
「くり抜かれただけでも痛いがな」
「ああ、目自体には神経ないですけれど」
「周りには集まってますからね」
「そこにこれだけ詰め込まれてみろ」
くり抜かれた後にだ。これでもかと詰め込まれている、その無残な有様を見ての言葉である。
「痛いなんてものじゃないぞ」
「じゃあ。あえて苦しませる為にですか」
「こうしたんですね」
「切り裂きジャックは切り裂くだけだった」
残虐だがそれだけだったのだ、しかしこの殺人鬼はだというのだ。
「だがな。こいつはな」
「はい、苦しませて殺していますね」
「あえて」
「本当に人間じゃない可能性もあるな」
刑事はこうも思いはじめていた。
「少なくとも正常な精神の奴じゃない」
「ですね。狂ってるっていうか」
「殺人狂ですね」
「屠殺狂だな」
それだというのだ。刑事はそう見ていた。
「それになるな」
「屠殺ですか」
「それになりますか」
「ああ、そうなるな」
そんな話をしながらだ。警官達は無残な事件現場を見ていた。そしてこれで終わりではなく。藤会の系列の事務所や幹部の屋敷においてこうした事件が毎日続くことになった。だが彼等はこの時はまだこのことを知らなかった。未来のことは。
第十一話 完
2012・4・10
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