暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十六話 アムリッツァ星域会戦(後)
[1/7]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
宇宙暦483(宇宙暦792)年12月11日20:05
アムリッツァ星系、第五周回軌道(小惑星帯)、銀河帝国軍、ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ、
ラインハルト・フォン・ミューゼル

 敵艦隊に新たな動きが認められる…こちらへ回頭…?しまった、攻撃準備を悟られたか!?
「参謀長、奇襲は失敗だ。前進!」
間髪入れずにヒルデスハイム伯が前進を命じる。確かに敵は回頭中、その後陣形を再編するつもりだろう。伯はその間に距離をつめる腹づもりなのだろうが……敵艦隊の行動は明らかに我々の存在を察知した為のものだ。であれば攻撃ではなく待機、または徐々に後退して遅滞行動を取る方が良かったのではないか……いや、もうよそう、始まってしまった以上は補佐に徹すべきだ。
「不満気だな、少佐」
「いえ、そういう訳ではありません」
参謀長が苦笑した。言われて気付いたが、伯も参謀長もどこか不満気な顔だった。奇襲に失敗したのだ、皆不満なのは間違いない。
「敵は現状では劣勢だ。もう一つの艦隊と合流するまでは無理はしないだろう。であれば、こちらも無理する事はない。チャンディーガルに残っているダンネベルグやカイタルのクラインゲルトには悪いが…撤退する」
「了解致しました。ですが、本当によいのですか」
「一個艦隊を完全に撃滅、更にもう一個艦隊にも損害を与える事が出来るだろう。だがそれで充分だ。確かに時間は稼がねばならんが、まずは要塞から収容した者達を無事にオーディンに連れ帰らねばならんしな」
忘れていた。伯の言う事は尤もな話だった。チャンディーガルを離れる時にイゼルローン要塞に駐留していた約二百万の人員を満載した輸送艦と補給艦を分離したのだ。今頃はアムリッツァ星系を抜ける頃だと思うが、彼等を無事に送り届けねばならないのだ。それを考えると、確かに戦闘のみにかまけてばかりは居られない。
「そうでした、確かに百隻程度の護衛では彼等も心許ないでしょう。参謀長、敵右翼に攻撃を集中して、そのまま反時計回りに転進、殿を務めつつ輸送船団に合流しましょう」
「そうだな。如何ですか閣下」
「是とする。卿等のよいようにせよ」




12月11日20:35
アムリッツァ星系、第四周回軌道近傍、自由惑星同盟軍、第二艦隊、旗艦メネラーオス、
ジェフリー・ルーカス

 「敵艦隊、更に前進してきます!こちらの右翼に攻撃を集中しつつあり!」
「右翼に後退しろと伝えろ。右翼が後退を開始したら前進しろと左翼に伝えろ」
「はっ」
敵の意図は何だ…?右翼を崩してこちらの後背を取るつもりか?それとも右方向からの半包囲……それならこちらは中央と左翼は前進……どうする?





12月11日21:00
イゼルローン回廊、自由惑星同盟軍、イゼルローン要塞、中央指揮所
ヤマト
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ