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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十六話 アムリッツァ星域会戦(後)
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こうも右翼ばかりに攻撃を集中するのだ?
「パエッタ参謀長、どう思う?」
「はっ……何と言いますか、こちらに退いて欲しいのではないか、と」
「退いて欲しい…??」
「あ、いえ、なんとなくそういう印象を受けましたので。此方は既に敵右翼に対し半包囲体勢を構築しています。それに対し敵は右翼のみがそれに対応し、相変わらず敵中央、左翼は此方の右翼に対する攻撃を止めません。それで、退いて欲しいのかと思った次第であります」
退いて欲しい…?敵にしてみれば当たり前の話ではないか。だが印象か…確かにそうかもしれんが…
「なるほどな。右翼の被害状況はどうなっている?」
「はい、一千隻ほどが撃破され、残存艦艇の三割程が何らかの損傷を受けています。戦闘に支障のあるものはその三割の半数に及ぶ様です」
「第三艦隊の到着まであとどのくらいだ?」
「およそ二時間かと」
二時間……現状のまま推移するとなると、此方の右翼はズタズタになるか…。
「参謀長。後退する。後退しつつU字陣形に再編だ」
「後退なさるのですか?」
「参謀長の印象に賭けてみよう。こちらに退いてほしいというのなら、奴等は撤退するのかも知れんしな。それに我々の任務はこの星系の確保だ、敵艦隊の撃破ではない。後退してみれば、奴等の意図もわかるだろう」
「…了解致しました」
不満そうだな参謀長、だがこれ以上戦力を減らす訳にはいかんのだ。確かに第三艦隊と合流すれば挽回は可能だろう。だが我々は既に一個艦隊を失っている。それがホイヘンスの命令違反によるものだとしても、宇宙艦隊司令部がそう見るとは限らない。ロボス閣下や我々の連帯責任にされかねない。既に我々の能力や行動に危惧を抱いている輩は少なからずいるだろう。であればまずは作戦目的の達成だ。我々の任務は星系の確保であって、敵戦力の撃破ではない…。敵は必ず大規模な反攻作戦を興すはずだし、敵戦力の撃破はその時で良い、敵に対するのに我々だけで当たる必要はない…。



12月12日00:50
銀河帝国軍、ヒルデスハイム艦隊、旗艦ノイエンドルフ、ラインハルト・フォン・ミューゼル


 敵は後退する様だ。U字陣形…半包囲体勢は崩さないという事か。
「少佐、どう思う?殊更に陣形を見せつけているとすると、敵は我々の撃破ではなく残りのもう一つの艦隊と合流を優先するのではないかと思うのだが」
シューマッハ中佐の見立ては正しいだろう。U字陣形、半包囲体勢の陣形だ。此方の方が戦力が多いから、中央突破出来ない事もないが、敵はどうやら中央部を厚くしている様だ。となると突破には時間がかかる、突破するまでに少なくない損害が出るだろう…。
「参謀長の予想通りだと思います。まあ此方が敵右翼ばかりに攻撃を集中するので、意図を図りかねての後退という側面もあるのでしょうが…U字陣と
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