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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十六話 アムリッツァ星域会戦(後)
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・ウィンチェスター

 ふむふむ、ここがアニメでいつもヤンさんが昼寝してる司令官席か…どれどれ………固いな!よくこの固い椅子で昼寝出来るもんだ…おや?
「中々さまになってるじゃないか」
「キャゼルヌ大佐…お休みになられないんですか?」
「非番は非番だがね。どうだ、付き合わんか?」
キャゼさんの手にはバーボンの瓶とグラスが二つ握られていた。
「いいんですか?小官は勤務中ですが」
「上官の命令だ、気にするな」
「ではありがたく頂きます…一応勤務中ですのでシングルでお願いいたします」
「分かった分かった…ところでだ、アムリッツァの件、聞いたか」
「はい。第十一艦隊が敗北…というより殲滅されたと」
意外にロボスのとっつぁんは慎重だった様だ。だが戦力を小出しにした為に第十一艦隊は奇襲を受けて壊滅してしまった…しかし、堂々と命令違反とは…ホイヘンス提督…だったか?まあよくやるもんだ。どの面下げて戻って来るんだろうか。
「これで前線の兵力は七個艦隊になってしまった…ロボス提督も靡下の提督達の引き締めにかかるだろうな。今頃は全軍でアムリッツァを目指している頃だろう」
キャゼさんが一気にグラスをあおる。そして深い息を吐いた。
「シトレ閣下は何も仰らなかったのですか?」
「ああ。先ほどロボス閣下と超光速通信(F T L)で話しておられたが、提督のせいではありません、と慰めておられたよ。まあ慰められた方はどう受け止めたか分からんがね」
キャゼさんは自嘲じみた笑顔で一気にグラスを空にした…一つ艦隊が消えたのだ、ロボスのせいではない、では済まないだろう。まあこれで他の艦隊司令官達もバカをやる奴はいなくなるだろうが…。しかし、第十一艦隊を壊滅させたのは…やはりヒルデスハイム艦隊か?となると手際が良すぎる…意外にヒルデスハイムが有能?いや、違うな、やはりラインハルトだろう。裁量権を与えられているか、全面的に信頼されているか、のどちらかだ。停戦会議の時もいがみ合ってる様子はなかったし…となるとアニメや原作の様に「金髪の孺子」呼ばわりされていない事になる。ヒルデスハイムはブラウンシュヴァイク一門の中でも主だった人物だ。そこに受け入れられているとなると…でもなあ、ラインハルトの生い立ちや性格、そしてその目的からして自分から進んで売り込む筈はないだろうし……。
「どうした?考え事か?」
「あ、いえ、ヤンさんは何をなさっているのかなあと」
「おいおい、俺じゃ不満か?」
「そういう意味じゃないですよ」
「冗談だよ、首席副官の俺が非番って事は、忙しいのは他の誰か?って事になるだろう?」
「ああ、なるほど。確かにそうですね」
空いた俺のグラスに遠慮なくバーボンが注がれていく。原作だったら…ヤンさんはどんな想いでイゼルローン要塞攻略戦に参加していたのだろう
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