劇場再び
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は渡すから…それまで町でも観光しててや」
「うん。そうするよ…あの劇場がどうなってるのか気になるし」
「何処か気になる事があったら、遠慮無く言ってや!リュカはんの厳しい評価は、えらい為になるんやから!」
「よくもまぁ、いけしゃあしゃあと嘘が吐けますね!」
エコナの屋敷を後にしたアルルは、穏やかな町並みを歩きながらリュカに噛み付いている。
「別にいいじゃん!誰も困らないんだし…」
リュカは悪びれることなく軽い口調で嘯く。
「でも………」
「それにエコナも喜んでたじゃん!それとも…『お前の事も、この町の事も全然気になどしていなかったが、情報が必要になり思い出したので此処へ来た!』って、言った方が良かった?」
リュカは人の悪い笑みを零しながらアルルに問いかける。
「………もう!意地が悪いですねリュカさんは!」
この男に何を言っても無駄だと悟り、怒りながらも話を打ち切るアルル…
他の者は皆、ヤレヤレと言った表情で劇場へと歩き出した。
エコナバーグ劇場………
以前に来た時は、悪辣な支配人と一悶着を起こした場所。
大して価値のないショーに50000ゴールドもの料金を取る、悪質経営が行われていたのだ…まぁ、それに対してリュカのとった対抗手段は、もっと悪辣で非常識だったけどね!
しかしその面影は今は無く、『不幸な事故』により空けられた入口の大穴も修復されており、内部も見違える程キレイになっていた。
「随分と雰囲気が変わりましたね…」
【ちびっ子喉自慢大会】と書かれたパネルが掛かっているステージでは、マリーぐらいの子供達が一生懸命歌を披露している。
入口には【入場無料・飛び入り参加大歓迎】と書かれた看板もあり、以前の豪華な酒場という印象は微塵もない。
「どうやら酒も置いてない様だね」
以前からあったカウンターバーは健在だが、アルコール類は無く軽食が出来るようになっている。
「ようこそいらっしゃいましたリュカ様!どうぞご堪能していって下さい」
リュカ達が様変わりした劇場に感心していると、支配人らしき男がリュカに近付き、笑顔で声をかけてきた。
「あ…う、うん…そうする…」
随分と馴れ馴れしく接してくる男に、些か引きながら答えるリュカ。
「その節は大変失礼を致しました。リュカ様がエコナ様の大切なお人だとは知らなかった物で…ご無礼をお許し下さい」
どうやらこの男はリュカ達と接点があるようで、頻りにその時の謝罪をしてくる。
「…お前、誰?」
「えぇ!!お忘れですか?私…以前はエコナ様の屋敷前で門番を務めておりました…お忘れですか?リュカ様が王様である事を知らずに、無礼な態度を取ってしまった門番を!」
支配人は、自分とリュカ達との接点を説明するも、思い出すのに時間を要してしまう。
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