第十一話 ノヴォデヴィチ女子修道院のソフィアその十三
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「おそらくこれまでもその店から多くの災厄が生じているね」
「昔から薬を扱っていた様ですね」
「なら話は決まりだね」
「それでは」
「裁きは下されるよ」
神から、そうなるというのだ。
「そして僕がその裁きを代行するよ」
「お務めですね」
「あのお店には何人いるかな」
「店長に。従業員が二人です」
神父はその数を十字に述べた。
「それだけです」
「合わせて三人だね」
「はい、店長は元々藤会に出入りしていまして」
ここでも藤会だった。十字が裁きを代行したその暴力団の。
「ただ。麻薬の入手ルートはです」
「独自だね」
「おそらく香港辺りのルートですが」
「香港、あそこからだね」
「そうです。あちらのマフィアからの様です」
「香港系となるとこれは」
「中華街ですね。しかしそちらを相手にすると大掛かりになりますね」
中国系マフィアの暗躍はイタリア系のそれに匹敵する。その中にはそれこそ世界規模の組織も存在しているのだ。極めて深刻なことにである。
それでだ。彼等も話すのだった。
「ですから本格的な裁きの代行ですが」
「彼等についてはだね」
「今あることを優先されてです」
そうしてだと。神父は十字に提案していく。
「そうされるべきと。神もお考えだと思いますが」
「そうだね。では今はね」
「はい、特に何もすべきでないかと」
中国系マフィアについてはだというのだ。
「ただ。その店はですね」
「うん、裁きの代行に赴くよ」
「店長も怪しい者ですが二人の従業員達も碌な者達ではありません」
そうした輩は店長だけではないというのだ。
「その二人もかつてはゴロツキの類でした」
「類は友を呼ぶだね」
「はい」
その店長にしてその従業員ありだというのだ。
「その通りです」
「ではその二人もだね」
「裁きの代行を下されますか」
「うん、そうなるね」
神の意志に基づいてそうなる。そういうことだった。
「それではね」
「はい、では枝を焼きながら」
「そこも潰すよ。それでだけれど」
「それでとは」
「裁きの代行の話はこれで終わろう」
この時点でだ。そうするというのだ。
しかし話自体は終わりではなくだ。十字は神父に今度はこの話をしてきたのだった。
「では。画廊に行こう」
「画廊ですか」
「そう。絵を観に行こう」
こう神父に提案したのである。
「今からね」
「それでは」
「観たい絵があるんだ」
それ故にだというのだ。
「不意にそう思ったけどね」
「その御覧になられたい絵とは」
「来てくれればわかるよ。それじゃあね」
こうしてだった
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