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イベリス
第七十二話 満ち足りた夏休みその一

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                第七十二話  満ち足りた夏休み
 咲はこの日は部活に出ていた、そうして部室の掃除を汗をかきつつ他の部員達と共にしながら言った。
「バイト先でもお掃除して」
「ここでもよね」
「そうですね、ですが」
 二年の男子の先輩に額で汗をかきつつ話した。
「こうしてお掃除しますといいですね」
「奇麗になるからかな」
「それに身体動かすので」
 それでというのだ。
「いい気分転換にもなるので」
「だからだね」
「はい、いいですね。汗をかいた後は」
 それはというのだ。
「タオルで吹いて冷たいお茶飲みます」
「お茶持って来てるんだ」
「お家で麦茶を作って」
 そうしてとだ、咲は先輩に笑顔で話した。
「よく冷やして魔法瓶にです」
「入れてきたんだ」
「そうしました」
「それはいいね」
「もう冷えたままで」
 それでというのだ。
「物凄く美味しいです」
「夏は冷えた麦茶だよね」
「そうですよね」
「僕はスーパーで安売りのお茶を買って」
「あっ、ペットボトルの」
「それで部室の冷蔵庫に冷やして」 
 そうしてというのだ。
「飲んでるんだ」
「それもいいですね」
「よく冷えたお茶は本当にいいね」
「夏は美味しいですね」
「他の飲みものもいいけれど」
「お茶ですね、私麦茶が好きで」
 それでというのだ。
「中学の時からです」
「部活の時はなんだ」
「今はバイトの時も」
 その時もというのだ。
「持って行って飲んでいます」
「そうしてるんだ」
「何かドイツから来た娘がです」
 同じ学園にいる知っている同級生の娘がというのだ。
「麦茶って代用コーヒーの味がするって言うんですよね」
「ああ、それ言うね」
 まさにとだ、先輩は机の上を拭きながら窓を拭いている咲に応えた、他の部員達もせっせと掃除に励んでいる。
「ドイツの東の方から来た人はね」
「昔東ドイツだったところからですね」
「あそこはね」
 旧東ドイツはというのだ。
「コーヒーは贅沢で」
「中々飲めなくて」
「政府の高官の人達は飲めたけれど」
 それでもというのだ。
「一般の人達はね」
「飲めなかったですね」
「だからね」
「その代わりで、ですね」
「蒲公英から作った」
 花が咲くことで知られるこの植物からというのだ。
「それをね」
「飲んでいましたね」
「そうだったんだよね」
「それでその味が」
 それがというのだ。
「何とね」
「麦茶と同じだそうで」
「だから冷やしたら」
 代用コーヒーをというのだ。
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