第十一話 ノヴォデヴィチ女子修道院のソフィアその十一
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「私が行くと足がつきかねません」
「そうだな。その可能性は否定できないな」
「その店も警察にマークされている可能性がありますから」
「ではどうする」
「彼等を使いましょう」
何でもないといった調子でだ。一郎は述べた。
「あの四人をです」
「ふむ。あの連中か」
「はい、彼等に行ってもらえばどうでしょうか」
「どうだろうな。あの四人は威勢だけはいいがな」
「頭は悪いというのですね」
「そうだ。所詮は愚か者達だ」
由人もあの四人についてはこう認識していた。所詮駒だというのだ。
「しくじる可能性があるぞ」
「では誰を行かせますか」
「雪子はどうだろうか」
「雪子なら頭がいいからですね」
「そうだ。あれを行かせてはどうだろうか」
「むしろ雪子に現場を監督させてそのうえで四人を行かせてはどうでしょうか」
つまり指揮官と実働部隊を同時に向かわせて行わせるというのだ。一郎の提案はそういうものだった。
「それではどうでしょうか」
「そうだな。それが一番いいか」
「教師の私がああした場所に赴くと怪しまれます」
「闇の中で取引するのとは事情が違う」
「ですから」
それ故にだとだ。雪子とあの四人をそうして赴かせるというのだ。
「これでいきましょう」
「ふむ。他にはやり方はないか」
「それでは雪子が見つかる可能性がありますか」
「そこから足がつくのではないのか」
ふとだ。由人はこの危惧も頭に浮かべたのだ。そのうえでの言葉だった。
「それでは同じだが」
「確かに。言われてみれば」
「あの四人は小者だ」
自分のことを知らずに言う。
「それではだ。何かあれば私達を売るぞ」
「責任逃れの為にですね」
「その危険もある。だからだ」
「これも危険ですか」
「所詮は使い捨ての道具だろう」
あくまでだ。由人は四人をそう捉えていた。
「それではだ。大事な仕事はな」
「任せられませんね」
「藤会がああなってはな」
まただ。由人は藤会のことを言った。
「安心した売買もできないな」
「そうなったことは確かに痛いですね」
「全くだ。しかしその店から手に入るか」
「ただしその種類は限られています」
薬の種類、それはだというのだ。違法ドラッグといっても一種類ではないのだ。コカインやマリファナ、モルヒネ、大麻、そして覚醒剤と色々なのだ。もっとも彼等は大抵の薬を楽しんでいるが。
その手に入る薬の種類についてだ。一郎は由人に話した。
「覚醒剤とコカイン位でしょうか」
「何だ、二つか」
「それ位です」
「寂しいものだな。モルヒネやマリファナはないのか」
「はい、そうです」
「しかし
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