第十一話 ノヴォデヴィチ女子修道院のソフィアその十
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そしてその顔でだ。こう言うのだった。
「藤会がああなってはだ」
「警察が大々的に入っています」
「そうだな。そしてだ」
そのうえでだというのだ。由人はさらに言うのだった。
「薬のことだが」
「それが警察に公になるかどうかですね」
「そうだ、我々のことが警察にばれるだろうか」
「いえ、それはないです」
一郎は安心している顔で不安に満ちている顔でその由人に答えた。
「ご安心下さい」
「そう言えるのか?」
「はい、書類のやり取りも行われていませんし」
こうした時に確実に証拠として出されるだ。まずそれがないというのだ。
「金銭は常に現金でした」
「小切手等ではない」
「ですから金銭での証拠もありません」
「しかもだな。取り引き自体も」
「そうです。絶対に誰も見ない場所で、でした」
そうした場所で行った。だからだというのだ。
「警察にもわかるものではありません」
「では私達の家かこの十階に入らない限りはか」
「そうです。絶対に見つかりません」
「では杞憂か」
自分の前に立つ一郎の落ち着いた声を受けてだ。由人は安堵した顔になった。
そしてそのうえでだ。こう言ったのだった。
「ならいい。ばれないのならな」
「そうですね。しかしです」
「薬の新たな入手先だな」
「それをどうするかですが」
「藤会は本部がああなった」
生物で言うと頭がだ。そうなったというのだ。
「それではやがてはか」
「藤会自体がなくなるでしょう」
「警察も本格的に潰しにかかるだろうしな」
「暴力団とはそうした運命にあるのです」
一郎は彼等のことを淡々と述べた。実に無機質に。
「弱みができればそこに警察が入り」
「そして潰されるか」
「そうなります。藤会も同じです」
「全国規模の組織だがな」
藤会がそうした組織なのは事実だ。実に巨大な組織なのだ。
だがそれでもだ。その頭が潰れればどうなるかというのだ。
「後は系列の事務所も次々とか」
「間も無く警察全体で動くでしょう」
「警察もその時を待っていたか」
「おそらくは」
「ふむ。では藤会はもういい」
由人もだ。ここでこう言ったのだった。そしてだ。
一郎に対してだ。彼は言った。
「では新たな薬の入手先を探そう」
「そうですね。何処がいいでしょうか」
「日本人の組織でなくともよい」
藤会の様なだ。そうした組織でなくともだというのだ。
「マフィアでも何でもいい」
「そうですね。外国のマフィアも最近この国に来ていますし」
「正直薬が手に入るなら何処でもいい」
組織にはこだわらないというのだ。
「本当に何処でもな」
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