第十一話 ノヴォデヴィチ女子修道院のソフィアその五
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「一人や二人ならともかくな」
「二十人だからな」
「しかもばらばらにしたり内臓引き摺り出したりとかな」
「首刎ねたりな」
「目とかくり抜いてな」
「化け物かよ」
こんな言葉も出て来た。
「ヤクザ相手でもちょっとおかしいだろ」
「本当に人間がやったのかよ」
「何処の妖怪がやったんだろうな」
「もう人間がやったなんて思えないよな」
「その限界超えてるぜ」
事件がニュースになってすぐにだ。殺害現場の情報が漏れていたのだ。そしてそれが八条学園にも流れてきてだ。誰もが話をしていた。
それは十字に情報を提供している先輩達も同じでだ。彼等もだった。
いつも溜まり場としている屋上でだ。固まってひそひそとだ。その話をしていた。
「頭に釘打たれてたらしいな」
「ああ、それも何本もな」
「それで組長殺されたんだってな」
「目も耳も舌も鼻もくり抜かれたりしてな」
彼の殺害状況も伝わっていた。
「で、首は見事にばっさりか」
「卓の上に置かれてた」
「殆ど怪奇映画だな」
「どんな殺人鬼なんだよ」
彼等もだ。眉を顰めさせてその犯人が人間ではないと思っていた。
そしてだ。彼等はこうも言うのだった。
「最近こんな事件神戸に多いよな」
「ああ、ホテルで殺されたりとかな」
「社長室で殺されてたりとかな」
「それもこうしたえげつないやり方でな」
「惨殺されてるよな」
神戸の謎の連続猟奇殺人事件、そうとさえ言われだしていた。
「悪徳社長だの何だのな」
「で、今度はヤクザか」
「悪い奴ばかりを狙って殺す」
「しかも悪事は公にされる」
その社長にしろそうだった。惨殺されたうえにその悪事はマスコミやネットに流され公にされている。そうした意味で完全に裁かれているのだ。
「正義の味方かね、これやってるの」
「どうだろうな。悪事ばらしてる奴とその殺人鬼が同一人物とも限らないだろ」
「というか絶対違うだろ」
「違うか?」
一人がこう言った。どうやら彼の中では悪事を公にしている者と殺人鬼は同一人物に思えるものらしい。心の中で一致するというのであろう。
「そこは違うか」
「ああ、違うだろう」
「あんなえげつない殺し方出来る奴が正義の筈がないだろ」
「あれはもう悪魔だろ」
「悪魔の仕業だろ」
その猟奇性からだ。殆どの者は二つのことを同一人物が行っているとは考えていなかった。
それでだ。ここにいる彼等の多殆どもこう言うのだった。
「悪魔がしてるに決まってるだろ」
「こんなこと普通しねえよ」
「人間じゃねえって」
「絶対人間の仕業じゃねえよ」
これが殆どの者の意見だった。彼等の中でもそうだ
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