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展覧会の絵
第十一話 ノヴォデヴィチ女子修道院のソフィアその四
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「今日も行って来るよ」
「組織の構成員だけではないことは」
「わかっているよ。密売の実際の担い手に」
「組織の顧問弁護士もいます」
「マフィアにも弁護士がつく」
 十字はこの現実についてだ。表情のないままでこう言った。
「因果なものだね。法律というものは」
「そうですね。法、弁護する者は本来は弱き者を守るものですが」
「悪しき者を守るものにもなる」
「この辺りは。悪用ですね」
「法も信仰も悪用できるよ」
 十字はこの現実も知っていた。この世界は純粋なものでも単純なものでもない。ありとあらゆるものがだ。そうしようと思えば幾らでも利用できるものなのだ。
 だからこそだと。十字はさらに言った。
「それ故にこそ」
「枢機卿もまたおられますね」
「そうだよ。僕がね」
「はい、だからこそ」
「消すよ。今日もね」
「そして今消されているものを全て終えられてから」
「いよいよだね」
 テレビで鬘を被っている司会者がしたり顔で、何も知らないし理解もしていないことを自分が最もわからず理解していないことをわからないまま言うのを見ながらだ。十字は言った。
「あの塾にかかるよ」
「そうされますね」
「理事長とその甥と姪」
 彼等のことを。十字は神父に述べた。
「そして手先になっている四人についてだけれど」
「詳しいことをお話して頂けますか」
「調べてくれるね」
「無論です」
 それは当然のことだとだ。神父は答えた。
「それが私の務めですから」
「そうだね。それにだったね」
「はい、以前も調べてきました」
 それは既にだった。神父もただ教会にいるのではなかった。
「ですがより詳しく調べさせてもらいます」
「頼んだよ。それではね」
「お任せ下さい」
 こうしてだ。二人は朝食を食べながらこれからのことを話していた。テレビではその残虐と思われる殺害現場や内容が延々と語られていた。それが背景になっていた。
 背景は学校でも同じでだ。誰もが話していた。
「藤会の本部壊滅らしいな」
「ああ、組長から主要幹部全員殺されたらしいぜ」
「それでその殺され方が無茶苦茶だよな」
「首刎ねられてる死体あるらしいな」
 まずはだ。残虐となれば絶対に出て来る事例が出た。
「あと達磨とかな」
「達磨?」
「両手両足斬ることだよ」
「おい、えぐいなそれは」
「あと内臓引き摺り出されたり胴から真っ二つになってな」 
 既にだ。その殺害方法が噂になって出ていた。
「後始末が今も行われてるらしいぜ」
「だろうな。そこまでえぐい殺しだったらな」
「二十人殺されたらしいな」
「で、それが全部そんなバラバラかよ」

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