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たゆたう心
第三章

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「誰にも言ったら駄目よ」
「絶対によね」
「私も言わないから」
 古奈美はこのことを保証した。
「言わないとね」
「それでいいのね」
「言わなかったら何にもならないから」
 だからだというのだ。
「絶対によ」
「言わないことね」
「そうよ」 
 絶対にというのだ。
「言ったら戻らないでしょ」
「そうね、その時は」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「そのことはね」
「誰にも言わないで」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「お酒で洗い流して」
「忘れることね」
「泣いてもいいわよ」
 古奈美は微笑んで弘子にこうも言った。
「それで酔い潰れてもね」
「いいの」
「もう兎に角飲んで」
 そうしてというのだ。
「忘れなさい、そしてね」
「そして?」
「新しいね」 
 また微笑んで言った。
「恋愛にね」
「生きることね」
「そうよ、そうしたらいいわ」
「そうなのね」
「私にはないけれど」
 古奈美は自分には経験はないと答えた。
「けれどね」
「それでもなのね」
「そう、こうした時にどうしたらいいかは」
「知ってるのね」
「相手いる人を好きになったことはないけど」
 それでもというのだ。
「失恋はね」
「経験あるのね」
「諦めるのも振られるのも」
 そのどちらもというのだ。
「結局は同じでしょ」
「失恋っていう意味で」
「だからね」
 それでというのだ。
「私もその時は飲んで」
「忘れたの」
「とことん飲んでね」
 今言っている様にというのだ。
「そうしてね」
「忘れたから」
「泣きもしたわよ」
 また笑って話した。
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