第二章
[8]前話
「今から坊やに葡萄の採り方を教えるよ」
「この木の実のなんだ」
「そうするよ」
葡萄のみを見上げながらお話します。
「いいね」
「あの木の実って美味しいんだ」
「そうだよ、台を持って来てその上に乗って採ったりね」
その採り方のお話もします。
「跳んだりしてだよ」
「採って食べるんだ」
「そうだよ、それにね」
「それに?」
「この実はとても美味しいから」
こう言うのでした。
「今から一緒に食べよう」
「僕も食べていいんだ」
「そうだよ、じゃあ今から教えるよ」
こう言ってでした。
今はお父さんとなっている子狐は自分のお母さん狐がした様にです。
傍の木に向かって跳んでです。
そこから跳ねて葡萄の実を採って着地して坊や狐の前に置いて言いました。
「さあ一緒に食べよう」
「今からだね」
「後でお母さんの分も採るけれどね」
それでもというのです。
「今はね」
「お父さんと僕とだね」
「食べよう、実はね」
お父さん狐は坊や狐に言いました。
「お父さんもこうしてお祖母ちゃんに採ってもらってね」
「一緒に食べたんだ」
「採り方を教えてもらってね」
そうしてというのです。
「一緒に食べたんだ」
「そうだったんだ」
「お祖母ちゃんは今は隣の山にいるけれどね」
「お祖父ちゃんと一緒にね」
「そうしているけれどね」
「お父さんの子供の頃にそうしてくれてなんだ」
「一緒に食べたんだ」
そうしたということをお話しました。
「そうだったんだ」
「それで今はだね」
「坊やとね」
「一緒にだね」
「食べよう。そして坊やも努力したら」
その時はというのです。
「今のお父さんみたいに採れるよ」
「僕もだね」
「練習したらね」
「うん、じゃあそうしていくね」
坊や狐は頷いてでした。
親子で一緒に葡萄を食べます、すると坊やはあの時のお父さんと同じ様に言いました。
「美味しいよ」
「そうだね」
「うん、僕練習して自分でも採れる様になるよ」
こうお父さんに言うのでした、そしてお父さん狐も笑顔でそうしていこうねと言って一緒に葡萄を食べるのでした。
お母さん狐が教えてくれたこと 完
2022・6・16
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