第一章
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オークと菩提樹
この時オリンポスの主神であり天空と雷を司るゼウスは商売と伝令の神ヘルメスと共に旅をしていた。
その中でだ、ゼウスはこんなことを言った。
「わし等は時々旅をしておるが」
「はい、人間達も色々ですね」
「よい者も悪い者もおる」
「貧しいのにもてなしてくれる者もいればです
「金持ちでも邪険にする者がおる」
「そこはそれぞれですね」
「全くだ、まあ神もそれぞれであるしな」
ゼウスはヘルメスと共に荒野を歩きつつ話した。
「一々目くじら立てても仕方ない」
「ケチな者に会ったとしても」
「流石にとんでもない悪人に会うと成敗するがな」
「はい、その時は」
「しかしな」
それでもというのだ。
「そんなケチだからという理由でな」
「神罰を与えるなぞはですね」
「しないであろう」
「はい、私もですが」
ヘルメスは自分のことも含めて答えた、二人共今は旅人の粗末な身なりだが外見は人間の大きさにしていて自分達の本来の顔である。
ゼウスは濃い茶色の縮れた髪と顔全体を覆う髭が印象的な顔で顔立ちは威厳があり端整である、ヘルメスは癖のある金髪で細面で色白で明るい整った顔立ちである、その外見で今は共に旅をしているのだ。
「まあ多少のことではです」
「怒らぬことだ」
「そうですね」
「意地悪でケチの者もおればな」
「本物のケチであったり」
「中には金はあってもそれぞれ事情があってな」
それでというのだ。
「出せぬもてなせぬ者もおる」
「それだけで怒ってはなりませんね」
「そして貧しい中でももてなしてくれるならな」
ゼウスはこの場合についても話した。
「喜んで受けてな」
「礼を返す」
「そうしていこうぞ」
「神は寛大であれですね」
「そういうことだ、折角力を持っているのだからな」
神の絶大なそれをというのだ。
「人間や他の生きものには寛大にだ」
「多少のことは大目に見ることですね」
「左様、ただ美しいおなごや男の子はな」
ここでだ、ゼウスは。
それまで威厳に満ちていた顔をにんまりとさせてこんなことを言った。
「誰でも愛でるぞ」
「ヘラ様にはお気をつけてですね」
「ははは、そういうことだ」
こんなことを話しながらだった。
二柱の神々は旅を続けていった、そしてだった。
プリュギアという街に着くとすっかり日が暮れていた、しかもその店の宿屋は今は満室でだった。
ゼウスは仕方ないという顔でヘルメスに話した。
「今宵はな」
「野宿ですね」
「これでは仕方ない」
こうヘルメスに言うのだった。
「だからな」
「街の正門の入り口に戻り」
「そこで寝るか」
「そうしますか」
こんなことを話してだった。
二人は街の正
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