第三章
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「おい、ここはどうしたんだ」
「この教会ですか」
「随分酷いな」
「今神父様がご病気で」
シスターは俯いて答えた。
「それで、です」
「この有様か」
「私一人で。元々古い教会で」
「それでか」
「お掃除はしていてです」
そしてというのだ。
「村の方々からの寄進もありますが」
「それでもか」
「今ここにいるのは私一人で」
それでというのだ。
「孤児院もやっていまして」
「孤児院もか」
「そちらも私一人で」
「手が回らないか」
「お金は何とか足りていますが」
「金があっても人手がないとな」
裏稼業もそうだ、それでブリケッティもわかって言えた。
「辛いな」
「教会の建て直しもしたいですが」
「正直もう限界だろ」
ブリケッティは礼拝堂の中を見回して言った、見れば椅子も座ればそれだけで壊れてしまいそうである。
「これじゃあな」
「はい、そう思いますが」
「辛いな、わかった」
「わかったといいますと」
「つてがある、助っ人を呼ぶな」
ブリケッティは裏稼業を通じての教会のつてを使うことにしてシスターに話した。
「ここに何人か来てもらう、神父さんが戻るまでの間だけれどな」
「あの、ですが」
「信仰ってやつだ、それならいいだろう」
戸惑うシスターに答えた。
「俺もカトリックだしな」
「そうですか」
「ああ、後な」
ブリケッティはさらに言った。
「寄付もな」
「そちらもですか」
「させてもらうな、今」
こう言ってだった。
彼は取りだした小切手にさらさらと金額を書いた、それをシスターに差し出してそのうえで言った。
「そっちは困ってなくてもあるに越したことはないだろ」
「宜しいのですか?」
「神に仕える人が寄付を受け取らないのもないだろ」
謙遜するシスターに笑って返した。
「そうだろ」
「それはそうですが」
「神様へのお供えだからな」
「それでは」
「ああ、人も送るしな」
人手のない教会へというのだ。
「そうしてもらってな教会の建て替えもな」
「そちらもですか」
「やらせてもらう、遠慮なんかするな」
「すいません」
「いいんだよ、神様のことだからな」
微笑んで言ってだった。
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