第二章
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「けれどです」
「ご家族にも友達にもな」
「大学を出てです」
このことは本当のことである、ナポリのある名門大学を卒業している。
「それで就職してです」
「真面目に働いているか」
「娘は医者になりたいそうで」
「真面目に勉強してるんだな」
「ええ、ですから」
それでというのだ。
「俺はこれからもここでやらせてもらいます」
「娘さんの進学の金も稼いでいくか」
「そうします」
「そうか、それで浮気もしないか」
こうした世界では女遊びもよくあることだがだ。
「奥さん一筋か」
「出来た女房ですよ、本当に」
「それでか」
「それもしないです」
「成程な、教会にも行ってか」
「それはママもですよね」
「こうした仕事の奴こそ教会にはよく行くものだ」
ママは笑って答えた。
「悪いことばかりしてるとな」
「ついついすがりたくなりますね」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「俺もだ」
「毎週日曜はですね」
「教会に行ってるんだよ、うちのモンは殆どそうだな」
「そうですね、それで俺もです」
ブリケッティはママに笑って答えた。
「教会も行ってます」
「寄付もしてるな」
「ええ、そうしてです」
そのうえでというのだ。
「また今度です」
「教会に行くんだな」
「そうします」
こうママに行った、そうして彼は実際に家の近くにある教会に毎週日曜日は妻それに娘と共に通っていた。
そして多くの寄付もしていたがある日のことだ。
仕事である村に行くと随分古ぼけた教会があった、それでだ。
ふと目に入ったその教会を見て連れている部下達に言った。
「ちょっと行ってみるか」
「あの古い教会にですか」
「今にも崩れそうな」
「そこにですか」
「ああ、そうしてな」
そのうえでというのだ。
「どんなものか見るか」
「誰かいますかね」
「冗談抜きで廃墟じゃないですか?」
「あそこは」
「その時はそれまでだろ」
ブリケッティは部下達に笑って応えた。
「そうだろ」
「それじゃあですね」
「まずは中に入って」
「そうしてですね」
「見ような」
その中をというのだ、こう話してだった。
ブリケッティは部下達を連れてその教会の中に入った、すると。
中は外より酷かった、礼拝堂は掃除はされているが今にも崩れ落ちそうであった。清潔な廃墟、そう言ってよかった。
一人の若いシスターがいた、小柄で白い肌で楚々とした顔立ちであり大きな目は青い。ブリケッティはその彼女に問うた。
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