第一章
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アウトサイダーロマンス
ロミオ=ブリケッティは裏の世界にいる、所謂カモラに所属していてナポリではよくない意味で知られている。
殺人や密輸には関わっていないがこうした組織の利権の一つである清掃等の仕事を取り仕切っている。その為組織のドンからも信頼されている。
その為羽振りもよくこの時もだった。
ナポリの高級レストランで美味い酒を飲みつつ奢っている部下達に言っていた。癖の強い黒髪で細面で鋭い目を持っている。痩せていて背は一七四程だ。その険しい人相とスーツの色が如何にもという感じだ。
「こうした仕事こそだよ」
「羽振りがいい」
「そうですね」
「そうなんだよ、裏で仕切る仕事こそがな」
まさにとだ、彼は上等の赤ワインを飲みつつ話した
「儲かるんだよ」
「全くですね」
「掃除とか小麦の運搬とか」
「裏方の仕切りこそですね」
「俺達のいい収入源ですね」
「こうしたものを仕切っているからな」
だからこそというのだ。
「俺達は儲かるんだ、だからな」
「これからもですね」
「この仕事は手放さない」
「そうしますね」
「そうしたらこうしたものが何時でも飲めてだ」
ワインをまた飲んでから言った。
「そして美味いものもな」
「食える」
「そういうことですね」
「その通りだ、だからな」
これからもというのだ。
「やってくぞ、この仕事」
「ですね、まさに濡れ手に粟です」
「こんないい仕事ないですよ」
「まして俺達はコロシとか密輸はしてないですし」
「余計にいいですね」
「組織にそうした仕事してる奴もいるけれどな」
それでもとだ、ブリケッティはィ生ハムを食べつつ話した。オードブルのそれは結構な枚数がありそちらを肴にして飲んでいるのだ。
「俺達は違うからな」
「あくまで裏の仕切りです」
「清掃業や小麦の」
「こっちはこっちで何かとありますが」
「それでもですね」
「やっぱりコロシはな」
ブリケッティは暗い顔になって話した。
「俺はしたことねえがな」
「いいものじゃないらしいですね」
「どんな奴でも殺すのは」
「そうらしいですね」
「後味が悪いらしいな、それをしないだけな」
それだけというのだ。
「いいだろ、それじゃあな」
「これからもですね」
「こっちの仕事頑張って」
「こうした美味いもん飲んで食っていきますね」
「そうしていくな」
こう言ってそうしてだった。
ブリケッティはこの時は部下達と共に馳走と美酒を楽しんだ、そしてその後で家に帰ったが妻と娘達にはだ。
自分の仕事のことは言わなかった、それでカモラのドンであるママと言われている代々その座にある者からは言われた。
「ご家族には言ってないんだな」
「ええ、サラリーマン
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