第二章
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「枝は絶壁の向こうにある」
「その下は底が見えない」
「落ちれば間違いなく命はない」
「しかも根本は岩が邪魔をしている」
「立っていられない場所だ」
「しかもどの桃も大きく重い」
「とても多くは持って帰られない」
弟子達はその木と周りそれに実を見て話した。
「これは工夫が必要だ」
「空をそのまま飛んでも風が来れば危うい」
「鳥に変化したり使役した方が確実に飛べるな」
「その場合持って帰られる桃は一つか二つだな」
「それでも持って帰れるならいいな」
「そうだな」
「ではそうしよう」
弟子達が次々に道術で鳥を出したり自らが変化してだった。
そのうえで桃を取って師匠に差し出した、だが。
彼等の師匠は難しい顔で彼等に話した。
「及第ではあるがより多くの渡せばな」
「よりよかったですか」
「そうなのですか」
「それも術を使わずな、誰か出来るか」
「神々が私を守って下さるのです」
ここで最後に試練に挑むことになった趙弁が言ってきた。
「それでは術を使わずとも」
「為せるか」
「これまでの修行や試練で術だけでなく心身も備えてきたのですから」
こう張陵に答えた。
「それでは」
「そこまで言うのならな」
「はい、果たしてみせます」
強い声で誓ってだった。
趙弁は身を躍らせて桃の木に飛びついた、道術を全く使わずにだ。これには他の弟子達は仰天した。
「何と、そうするか」
「術を使わないのか」
「こうした時こそ術であるのに」
「何という者だ」
彼等は驚くばかりだった、そして。
趙弁は木を登っていき枝に手を伸ばしてだった。
懐に桃を一個また一個と入れて入れられるだけ入れてだった。
張陵と京大弟子達が待っている岩の上に戻ろうとしたが。
「駄目だ、桃が重過ぎる」
「幾つも懐に入れ過ぎた」
「あれでは無理だ」
「木には飛び付けたが」
「また飛んで戻るのは無理だ」
「身体が重くなり過ぎている」
「さて、どうする」
張陵もその彼を見て言った。
「これから」
「趙弁無理をするな」
「命を粗末にするな」
「桃を減らせ」
「さもないと危ないぞ」
「大丈夫だ」
趙弁は自分を気遣っていう兄弟弟子達に強い声で言葉を返してだった。
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