第二章
[8]前話
「メェ〜〜〜」
「もうすっかりだな」
「はい、ハクスリーは心も身体もです」
牧場の若いスタッフが答えた。
「癒されました」
「そうだな、十年の間独りぼっちだったらな」
「それならですね」
「これからはな」
「ずっとですね」
「幸せにいて生きてもらおう」
「是非ですね」
「ずっとな」
フェルドはスタッフそして羊達に囲まれ元気に動き回るハクスリーを見て話した、その彼が旅行でイギリスのカンブリアに来た時にだ。
ある牧場に行くと七匹のコリーそれに一匹のグレーの猫と牧場で遊んでいる雌の羊を見た。
「ワン」
「ワンワン」
「ニャア」
「メェ〜〜〜」
「親に捨てられて犬や猫に家族に迎えられたんだな」
「ええ、そうよ」
傍にいたブロンドの髪を後ろで束ねた青い目の若い女性が応えてきた。
「あの娘、ベラはね」
「やっぱりそうか」
「私はこの牧場を夫とやってるジリー=チッペンデールっていうけれど」
「あの羊のオーナーなんだな」
「ええ、育ちが悪くて生まれてすぐにね」
まさにその時にというのだ。
「捨てられたから」
「犬達や猫にか」
「預けたら皆で育ててくれて」
「ああしてか」
「いつも一緒にいる様になったの、そしてね」
チッペンデールはさらに話した。
「もう自分を羊と思わないで」
「犬とか」
「思って犬用のビスケットもね」
「食べるか」
「そうなってるわ、けれど一頭じゃないからね」
「羊は一頭じゃ駄目だからな」
ハクスリーのことを思い出しつつ話した。
「ああしてな」
「一緒にいてくれる子がいたら」
「何よりだな」
「本当に」
「全くだ、旅行に来ていいものを見たよ」
フェルドマンは笑顔でハクスリーのことを話した、そしてこれからも孤独な羊が出ない様にしようと話した、羊はそれでは生きられないのだからと。
そのうえでアメリカに帰ってスタッフ達にこのことを話した、そのうえでハクスリーにも他の生きもの達にも愛情を注いでいった。
孤独から介抱された羊達 完
2022・10・26
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