暁 〜小説投稿サイト〜
孤独から解放された羊達
第一章

[2]次話
                孤独から解放された羊達
 アメリカニュージャージー州でその話を聞いた動物の保護活動を行っているリアン=フェルドマンよくフェルドと言われる年老いた白髪の老人である彼はすぐにその州のある動物園に行った、そして。
 ただ一頭でフェンスにもたれかかっている弱り切った羊を見て言った。
「これは」
「はい、この通りです」
 動物園のスタッフが答えた。
「私達が保護した時にはです」
「もうですか」
「あの様になっていました」
「何でも十年の間ですね」
「ある場所に一頭でしました」
「羊は群れを為して生きてです」
 フェルドはスタッフにこのことを話した。
「それが絶対ですから」
「一頭でいることはですね」
「どれだけよくないことか」
「寂しく辛かったでしょうね」
「それだけで。そのせいかストレスも酷く」
「弱りきっています」
「そうですね、ではです」 
 それならとだ、フェルドは話した。
「私が保護して」
「そうしてですか」
「そのうえで」
 まさにというのだ。
「私が何とかしましょう」
「そうしてくれますか」
「そちらも余裕がないですね」
「実は羊は他にいなくて」
 スタッフは困った顔で話した。
「保護しましたが」
「それでもですね」
「それだけです」
「では」
 それならと話してだった。
 フェルドはその日蛆をハクスリーと名付けた、雄の彼を即座に自分の保護牧場に連れて行って世話をしだしたが。
 ハクスリーを診察した友人の獣医に言われた。
「十年もの間一頭でいてね」
「酷くだね」
「その孤独のストレスで心も身体も弱きっていてだよ」
 それでというのだ。
「かなりの治療が必要だよ」
「やはりそうか」
「うん、けれど手遅れじゃない」
 獣医はそれは大丈夫だと話した。
「だからだよ」
「助けられるか」
「きっとね」
「ではここにいる皆でしていこう」
「そうするんだね」
「絶対に」
 獣医に約束してだった、フェルドは獣医が言った通り羊の習性にも大きく反した十年の孤独で弱り切ったフェルドをだった。
 牧場のスタッフ達と共に身体を治療し心を癒していった、そして牧場の羊達にも紹介した。スタッフも羊達も弱りきっていた彼にだった。
 愛情を以て接し仲間として共にいた、すると。
[2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ