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戦姫絶唱シンフォギアGX〜騎士と学士と伴装者〜
第23節「青い果実」
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緊急事態だ。上には俺から話をつける』
「じゃ、行きましょ。積もる話はあるけれど、今はとにかく時間が惜しいわ」
「陳謝、迷惑をかける」

驚く純やツェルトを置き去りに、了子さんはグリムさんを連れてラボへと戻って行った。

後に残されたのは、俺たち3人だけだ。

「どうする?」
「俺はあいつらの回収があるからな。純、お前は翔に……」
「なあ、2人とも……話があるんだ」
「ん?」
「どうしたの、翔?」

2人の視線が俺に集まる。

「実は──」

俺は先程、グリムさんから投げかけられた問いについて2人に話した。

RN式をギアとして纏える俺たちには共通点がある。
それは、それぞれが装者と深い関係にある事だ。

俺に響がいるように、純には雪音先輩がいて、ツェルトにはマリアさんがいる。
伴装者になったきっかけも、戦う理由も、大切な人を守りたいと一心に願う想いにあった。

だから、2人は答えを持っている気がする。
俺は意を決して打ち明けた。

「……俺は響に戦ってほしくないと思う。響が傷つくのが嫌なんだ。でも、響は戦う事で誰かを助けられるなら、迷いながらも戦う。俺は……どうするべきなんだ?」

響を支えると決めたが、彼女に傷ついてほしくない。
望まぬ戦いであるのなら、彼女に拳を握ってほしくない。普通の女の子として生きていて欲しい。

しかし同時に、彼女の夢を応援したいという気持ちが存在する。
彼女が誰かを助けるために戦わざるを得ないのであれば、共に隣で支えるべきだと心が叫んでいる。

相反する感情に挟まれ、胸が重たくて仕方ない。

2人ならどうするだろうか?
いいや、この2人は迷わない。正しいとか間違っているかじゃなくて、愛する人と一緒に傷つきながらでも進める道を探そうとする。

自分の決断に胸を張っていられる選択が出来る強さだ。

俺は……俺自身が傷つくのは構わない。
だけど、響が傷つく事になるのは嫌だ。想像するだけで胸が張り裂けそうになるし、自分が許せなくなってしまう。

どうしたらいいんだ……。

「そんなの決まってるじゃないか」
「ああ、そうだな。らしくない迷い方しやがって」

顔を上げると、俺の隣に移動した2人が肩を組んできた。

訳が分からず惚けていると、先に口を開いたのは純だった。

「翔の迷いは、立花さんを大切に想っているからこそのものだ。だからこそ、立花さんを大切に思うあまり、自分の本当の気持ちが見えなくなってるんじゃないかな?」
「本当の気持ち……」
「そう。肩に力が入りすぎてて、逆にポッキリ折れそうだ。もう少し、立花さんの言葉に耳を傾けてもいいんじゃない?」

前に、姉さんが奏さんから似たような事を言われていたような気がする。

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