第23節「青い果実」
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猛攻を続けるミカに対抗するべく、調と切歌はLiNKERの追加投与を決断する。
2人を止めようとする弦十郎。しかし、マリアはやらせて欲しいと懇願する。
フロンティア事変のあの日、道に迷い独走した彼女たちだからこそ、今戦うことがその償いだと。
臆病だった過去の自分と決別し、エルフナインがギアを復活させてくれると信じて時間を稼ぐことが、今できる一番の罪滅ぼしなのだと。
ツェルトと共に、血が出るほど唇を噛み締めて訴えるマリアの言葉を、弦十郎は受け容れた。
そして──
「調ちゃんと切歌ちゃんの適合係数、更に向上。しかし……」
「分かっている!奏くん共々、回収の準備を急がせろッ!」
「だったら俺が向かいますッ!」
この後に待つ”時間切れ“に備えて命令を飛ばす風鳴司令に、俺は自ら進言する。
Model-GEEDがなくたって、俺にできることはまだあるのだから。
「ツェルト……」
「マリィも、調も切歌もいい所見せたんだ。次は俺の番だろ?」
「……ほんと、格好つけたがるんだから」
マリィに軽く突っつかれながら、「そんなんじゃねぇよ」と笑う。
以前、風鳴司令が言っていた。子どものやりたい事を全力で支えるのが大人だ、と。
なら俺も、そうありたい。あいつらが無茶しても、無事に帰ってこられるように支えるのが、兄貴分としてのあるべき姿だ。
「格納庫の車両を使うといい」
「ありがとうございますッ!」
そう言って発令所を出ようとした時だった。本部のアラートがけたたましく鳴り響いたのは。
「何事だッ!?」
「本部内から謎の高エネルギー反応ッ!」
「場所は……格納庫ですって!?」
「映像回せ!」
格納庫の映像が映し出される。
そこに映っていたのは、馬のような形をした四足歩行の機械。そして、それに騎乗する人影だった。
片方は髪の長い白衣の男。
そして、もう1人は……。
「翔!?」
「どういうことだ!?」
その場にいた全員が驚愕した。
「ちょっと様子見てくるぜ!」
「僕も行きます!!」
俺と純は顔を見合わせると、発令所から駆け出した。
ff
S.O.N.G.本部潜水艦ネオ・ノーチラス、車両格納庫。
そのど真ん中に、翔とグリムの乗ったスレイプニルは降り立った。
「ここは……本部!?」
「果然、驚くのは無理もない。しかし、この寄り道にもわけがある。君のRN式は最終調整が済んでいないからね」
「最終調整……?」
翔は怪訝そうに眉をひそめる。
「謝意。君のギアを修復する際、プロテクターに大幅な改修を加えさせてもらった。そのため、元のプロテクターからステータスが変動してしまっている。開発者、櫻井了子の協力を仰ぎたいのだ」
「それでわざわざ本部まで…
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