第七十一話 神仏を感じてその十一
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「家族でもないのに上座に上がったそうです」
「家族でないと」
これには咲も驚いた、両親から中学の時もう知ってもいい年齢と言われ冠婚葬祭のしきたりも教えられたのだ。
「上がらないですよね」
「それが自分の食事を持ってです」
そのうえでというのだ。
「誰も招いていないのに遺族の叔母さんの隣にです」
「行ったんですか」
「どうも皆から見捨てられて」
その行いと性格の結果というのは言うまでもなかった。
「もうその人しかです」
「すがる人いなかったんですね」
「それで上がって隣からしきりに話しかけたそうですが」
「話しかけられる方も嫌ですよね」
「参列者の人はどなたもです」
その葬式のというのだ。
「眉を顰めさせたそうです」
「あまりにも無作法なので」
「はい」
まさにというのだ。
「その通りです」
「碌でもない人だったんですね」
「ですからケルト十字で占って」
そうしてというのだ。
「全てが悪いカードで」
「最後は塔ですね」
「それの正でした、九枚全てがその人を言い表していました」
「カードは嘘を吐かない、ですね」
「はい、そして」
まさにというのだ。
「そうなりました」
「そうなんですね」
「世の中何をしてもです」
それでもというのだ。
「悪いままどころかどんどん悪くなり」
「変わらない人がいるんですね」
「はい、流石に非常に稀ですが」
それでもというのだ。
「そうした人もです」
「世の中いるんですね」
「そうです、小山さんはそうした人にはならない様です」
「努力することですね」
「こうした人生は送りたくないですね」
「最低の人生ですよね」
咲もこう言った。
「もう」
「そう言うしかないですね」
「誰かの役にも立っていないですね」
「はい、一度も」
それこそというのだ。
「そうして生きてきました」
「それでそんな人間性で」
「何もせず自分のことだけを考え」
そうしてというのだ。
「そしてです」
「最後はですね」
「行方不明です」
「最低な人生と言っても色々でしょうが」
人生はその人それぞれだ、まさにこの世に生きてきた生きている人間の数だけ存在している。だから最低と言っても多くあるのだ。
「しかし」
「その中の一つですね」
「間違いなくそうですよね」
速水に真剣な顔で述べた。
「お友達もいないみたいですし」
「勿論いませんでした」
「親戚からも見放されて」
「本当に何もなく何も生み出さないままで」
そしてというのだ。
「尊大で図々しいままで」
「生きていって」
「結末はそうでした」
「本当に酷いですね、そんな人生は」
それこそと言うのだった。
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