第七十一話 神仏を感じてその十
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「こんなことは非常に珍しいのですが」
「普通ないですよね」
「十枚あれば悪い状況でも」
それでもというのだ。
「多少はいいカードが出ます」
「そうなりますね」
「しかし全てが悪いもので」
九枚共というのだ。
「十枚目もです」
「最後のですね」
「それもです」
まさにというのだ。
「塔の正で」
「最悪ですね」
「これは完全に破滅するとです」
その様にというのだ。
「思いましたが」
「そうなったんですね」
「働いていないと生活出来ないですね」
「そうですよね」
咲もそれはと頷いた。
「家族がいないと」
「結婚していましたがそんな人だったので」
「奥さんも別れたんですね」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「親や親戚にたかって生きていましたが」
「それも酷いですね」
「足りない分はヤミ金に手を出して」
「ああ、それ危ないですよね」
ヤミ金と聞いてだ、咲もはっとなった。
「後が大変ですよ」
「そうです、そして団地に住んでいても家賃を払えず」
「ヤミ金にも手を出した位で」
「何も出来なくなって」
そしてというのだ。
「団地を追い出されてそれまで甘やかしていた親も」
「どうしたんですか?」
「掌返しで見捨てて知人が何とかヤミ金も追い出された時の家具等も処理しましたが」
「助かったんですか」
「それで住み込みの仕事も用意してもらいました」
「随分優しい人がいたんですね」
「ですがそれでも心を入れ替えず」
そうしてというのだ。
「不平不満ばかりでその職場のこともです」
「言ってたんですね」
「兎角文句ばかりで感謝せず」
「他にもいいところがなくて」
「そこでもいられなくなって」
その住み込みの職場もというのだ。
「後は誰も助けることなく」
「その優しい人も見捨てて」
「今は行方知れずです」
「そうなったんですね」
「もうその人のことは占っていませんが」
それでもとだ、速水は話した。
「死んでいてもです」
「おかしくないですか」
「野垂れ死にでも。一度ホームレスになったのです」
「その追い出された時ですね」
「ここで普通は反省して」
心からそうしてというのだ。
「成長し文句なぞです」
「言わなくなって」
「感謝や思いやりの気持ちも持ちますが」
「そうならなかったんですね」
「何があってもです」
報いの様なことがというのだ。
「変わらない、よくはならない」
「そんな人がいるんですね」
「その職場を去る前に親戚のお葬式があったそうですが」
「どうだったんですか?」
「お葬式の後の昼食の時にです」
参列者を招いたそれにというのだ。
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