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イベリス
第七十一話 神仏を感じてその八

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「どの様な人もです」
「小さいんですね」
「そうです、どれだけ偉大でも」
「アッラーの前ではですね」
「何でもないです」
「小さな存在ですね」
「そうなっています」
 まさにというのだ。
「それは他の宗教も同じで」
「人間は小さいんですね」
「そうしたものと認識することがです」 
 それこそがというのだ。
「大事なことです」
「人間は小さい」
「それと共に努力すれば」
 そうすればというのだ。
「大きなことも出来ます」
「小さくともですね」
「どれだけ凄くとも神仏と比べると小さいですが」
 その存在そして力はというのだ、速水はあくまで人間というものをそうしたものと考えているのだ。だがそれと共になのだ。
「努力すればです」
「凄いことが出来ますね」
「そして何処までも成長します」
「何処までもですか」
「だから人間の社会もです」
 こちらもというのだ。
「今に至ります」
「何処までも成長出来るので」
「そうです、若し自分が一番偉いと思えば」
 またこう言うのだった。
「この世で」
「もうそこで終わりですね」
「最も偉い、最高と思えばです」
「もうそこで努力しなくなりますね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうなりますので」
「そこで終わりですね」
「ですから」
「神仏を信じて」
「人間は小さいものと認識して」
 そうしてというのだ。
「それと共にです」
「努力していくことですね」
「塔のカードがありますね」 
 速水はここでタロットの話もしてきた。
「あの最悪とされるカードですが」
「正でも逆でも最悪ですよね」
「こうしたカードはタロットでも稀ですが」
 それでもというのだ。
「ベベルの塔を表しています」
「聖書の」
「神の場所に行こうとした傲慢を破壊されましたが」
「だから悪い意味ですね」
「しかし努力を続け高まっていくことはです」
「あの塔みたいに」
「それはいいことです、所詮人間は神仏には至れません」
 それは無理だというのだ。
「そこには絶対のものがあるので」
「だからですね」
「それは無理ですが」
 それでもというのだ。
「しかしです」
「成長し続けることは出来ますね」
「無限に」
「そうなんですね」
「ですから努力することはです」
 神の座には絶対に至れないがというのだ。
「それ自体は」
「そうですか」
「いいのです」
「努力は必要ですか」
「はい、私の考えでは神に至ることは出来ませんが」 
 それでもというのだ。
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