第一章
[2]次話
仏舎利は本当か
大阪の四天王寺に来てだった。
リチャード=オズバーンは首を傾げさせて寺の僧侶に言った。面長の顔で金髪を短くした彫のある顔立ちでグレーの目の青年である。背は一九〇近くあり逞しい身体つきが如何にも健康そうな雰囲気を出している。
「仏様の骨?」
「はい、それがです」
年老いた僧侶はオズバーンに笑って話した。
「この寺にも納められています」
「あの塔になんだ」
「そうです」
「仏様はこの場合は」
「釈尊です」
「お釈迦様だよね」
「左様です」
僧侶はまた答えた。
「入滅されてです」
「その骨をだね」
「それぞれのお寺で、です」
「分けてなんだ」
「納めています」
「となると」
オズバーンは腕を組んで言った。
「聖骸衣みたいな」
「キリスト教の」
「僕ボストンの港で働いていてね」
オズバーンは自分の身元のことも話した。
「イタリアのトリノのことも聞くけれど」
「あちらにあるというものですね」
「うん、けれどね」
オズバーンはさらに話した。
「あの聖骸衣は本物かというと」
「違うとですか」
「聞いたよ、あれはキリストの顔が映し出されているけれど」
それでもというのだ。
「実はキリストの顔は違うってね」
「キリストさんの実際のですね」
「あの顔はラテン系の顔で」
聖骸衣のそれはというのだ。
「実際の顔は」
「当時のメソポタミアの人ですからね」
「あの顔はないってね」
「そうですね。拙僧もそう聞いています」
僧侶も答えた。
「実際はです」
「違うね」
「その様ですね」
「だかられはね」
聖骸衣はというのだ。
「実はね」
「偽物とですね」
「言われているけれど」
「まあこのお寺のものは本物の様ですが」
「お釈迦さんの仏舎利なんだ」
「です我が国にも多くの仏舎利が納められていますが」
それでもというのだ。
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