祝福は心の中で
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<ランシール>
闇夜も深くなり、既に日付が変更された頃…
ランシールの神殿では、誰も眠ることなくアルルの帰りを待ち続けていた。
(ガチャ…)
洞窟へと続く扉のノブが回り、奥からアルルが姿を現す。
「お帰りなさい、試練は………!!」
神官がアルルに試練の結果を聞こうとした時、彼女の後ろから現れた人物に驚き言葉を失う。
しかし、それは神官だけではない。
ウルフ達も信じられない物を見るように、驚き固まっている。
ビアンカとマリーだけは、冷静さを持っているが…それでも驚いている。
「よう!どうだった?ブルーオーブは手に入った?」
「えぇ、バッチリ!」
アルルは手にしたオーブを掲げ見せウインクをする。
「そっちの色男はどうだ?良い女をナンパ出来たのか?」
「ええ!美女の匂いを辿ったら、彼女に出会いました。最高に良い女です!」
アルルの腰に手を這わせ、引き寄せて自慢しながらウインクするティミー。
「じゃ、万事OKって事ね。…待ちくたびれて疲れたよ!宿屋に帰ろうぜ!」
「父さん…1つ困った事が…」
「どうした?」
「僕の度し難い方向音痴は、治らない物ですかねぇ?」
「う〜ん…一晩寝れば治るんじゃね?」
「じゃぁ安心だ」
「ちょっと待ちなさい!!」
アホな会話をしながら、神殿を出て行こうとするリュカ達を、やっと思考が動き出した神官が止める。
「こ…この試練は、勇者が1人で行う事に意味があるのです!にも関わらず、何故アナタは一緒に洞窟へ赴いていたのですか!?」
混乱と憤慨が混ざり合った声で、アルルとティミーを怒鳴る神官。
「私は1人で試練をやり遂げました」
「僕は美女の匂いを求め彷徨った末に、直ぐそこで彼女と出会いました」
いけしゃあしゃあと言い切る2人。
「何の問題も無いじゃん!」
そしてそれを最大限に援護するリュカ。
「な、何を言っているのですか!貴方の息子さん…ティミーさんでしたね。ティミーさんは、地球のへそへと通じている、この扉から戻って来たのですよ!高く険しい絶壁に囲まれた、洞窟の方から帰って来たのですよ!」
「それが?…コイツ、すげー方向音痴なんだよね!きっと迷いに迷って、洞窟の方へ行っちゃったんだよ!」
半ば笑いながら話すリュカ…
「迷った!?迷って行けるような所ではないのです!何かイカサマをしたに決まってます!そ、そんな勇気…私は認めませんよ!」
顔を真っ赤に染め上げ、震えながら怒りを露わにする神官。
リュカ・ティミー・アルルを指差しながら、ヒステリックに叫び散らす。
「黙れクズ!!『私は認めない』だと?この試練は、神が与えた試練だろ!お前の許可など必要ではない!それとも何か?お前が神なのか?」
空気を揺らす程の怒号で怒りをぶつけるリ
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