第二章
[8]前話
「確かにうちはかつては藩主の家でしたが」
「そうですよね」
「それで今は大きな会社を経営されていて」
「資産もかなり」
「身分はないですし何かと大変なんで」
西壁は三人にさらに話した。
「何でもないですよ」
「偉くないですか」
「そうですか」
「別に」
「会社も八条グループの系列に入ってる子会社の一つですし」
そうなっているというのだ。
「本当に何でもないです」
「あの、私もこの人の実家に案内させてもらったけれど」
祈里も話した。
「別にね」
「何でもないか?」
「お家大きくない?」
「やたら立派とか」
「お屋敷だけれどご家族もご親戚もどなたも気さくで飾らない人達よ」
「それがうちですから」
西壁はまた話した。
「本当に緊張されずに」
「そうよ、というかお殿様の話って江戸時代で」
「会社経営していても政治家がいても変わらないですよ」
二人で話した。
「会社は子会社でいつも社員さん達と一緒に汗水流してますし」
「そうした会社でね」
「政治家は落選したら終わりですし」
「本当に一緒よ」
「同じ人間か」
「元お殿様で社長さんでも」
「政治家の人がいても」
三人は二人の言葉に応えた、そしてさらに話してみるとだった。
西壁は確かに飾らずしかも公平であった、祈里も心から愛していることがわかった。
そして後日彼の実家に行くと彼の家族も親戚も飾らず気さくで結婚相手も名門だのではなく普通の家の人ばかりだった、それで三人はようやくわかった。
「お殿様とか社長さんとかな」
「政治家さんとか資産家とかね」
「肩書や財産で見たらいけないわね」
「そして自分達もな」
「卑下したらいけないわね」
「普通のお家でもね」
「そうよ、結局人間誰もが同じでね」
祈里は三人にあらためて話した。
「そのことがわかっていたらね」
「いいんだな」
「皆同じだって」
「そうね」
「そうよ、だからね」
それでとだ、さらに言うのだった。
「結婚してからも宜しくね」
「ああ、結婚の話も進んでるか」
「それじゃあね」
「あらためて宜しくね」
三人で応えた、結婚式は普通の家族婚であり二人はお互いの収入に見合ったマンションに住み生活をはじめた。それを見てまただった。
三人はどんな家の人間でも同じ人間だと再認識した、そして長女夫婦と夫の実家とも親しく交流していった、尚三人はそのまま普通の庶民として暮らし次女も普通の人と親しくなって結婚した。三人も飾らなく暮らしていった。
大きな家でも別に 完
2022・10・23
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