第一章
[2]次話
千人切りと一人だけ
高校一年の頃からだ。
椎葉千晶は男好きで知られていた、相手がいない男性と見るとそれこそ誰彼なく声をかけてだった。
関係を持ち相手を次から次に変えていった、それで二十五歳になる時にはだった。
「えっ、遂になの」
「千人なの」
「そうしたことした男の人千人なの」
「そうなのよ」
大きな丸い目と形のいい顎と白い肌が印象的だ、紅の唇は大きめで艶やかである。睫毛は長く黒い眉は細めで奇麗なカーブを描いている。茶色がかった髪の毛はカールやウェーブをかけてセットして長く伸ばしている。胸と尻は大きく形がよくウエストは引き締まり見事な脚がミニスカートから露わになっている。
「いよいよね」
「もうすぐ二十五歳よね」
「それでなの」
「もう千人なの」
「凄いわね」
「ええ、中学の時読んだお話でね」
それでというのだ。
「男の人とそうしたことをすればするだけ女の人としてよくなっていくってね」
「磨かれていく?」
「そうなる?」
「そうなるっていうの」
「そうしたお話を読んで」
そうしてというのだ。
「私もって思ってね」
「高校生からなのね」
「もう相手いない男の人ならだれでも」
「お声をかけて」
「そうしてなのね」
「遂に千人よ、いや本当にね」
千晶は感慨を込めて述べた。
「ここまできたって思うけれど」
「そのせいかあんた色気凄いわよ」
「同性の私達から見てもね」
「かなりよ」
「エロ過ぎよ」
「お顔も身体もファッションもね」
「そういうのに出て来るのかしら」
多くの男性と関係を持てばとだ、千晶は思った。
「そうなのかしら」
「どうかしらね」
「何気にお料理とか女子力も高いし」
「家事も得意だし」
「そういうの見たらね」
「そうなのかもね」
友人達も否定しなかった、そしてだった。
千晶は遂にだった。
千人目となったがこの時にだ。
ふと入った喫茶店の女性の店長を見た、店の中にいる店員は彼女一人なのでわかった。その店長は同じ位の年齢であり。
黒髪を腰まで伸ばし大きな垂れ気味の優しい目にだった。
絶妙な位置に黒子のある色白の顔で顎の形もよく。
赤い微笑んだ形の唇で胸は千晶より大きくエプロンと白のブラウスに黒のロングスカートにタイツという服装だったが。
千晶はその下の自分にも負けないスタイルを見抜いた、それで今は他に店員もいないので彼女に尋ねた。
「貴女何人の人と関係があるの?」
「ずっと主人一人よ」
店長は笑顔で答えた。
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