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丸坊主もよし
第三章

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「もうな」
「植毛が無理なら」
「育毛剤が信用出来なくて」
「鬘も嫌なら」
「それしかないな、じゃあな」
「ええ、これからは」
「明日にでも床屋行ってだよ」 
 そのうえでというのだ。
「髪の毛短くしていくな」
「そうするわね」
「これからはな」
 こう言って実際にだった。
 原田は次の日家に帰るとだった。
「思い切ったわね」
「ああ、もうやるからにはって思ってな」
 夫は妻に話した。
「ただ短くするんじゃなくてな」
「丸坊主にしたのね」
「こうしてな」
 見れば実際に丸坊主になっている。
「もうな」
「これからはなのね」
「やっていくな」
「そうするのね」
「ああ、もうこれでいいよ」
 こうも言ってだった。
 原田はこの日から丸坊主になった、髪の毛はどんどん減っていったが。
「もうな」
「これでいいのね」
「ああ、そう思ってるよ」
 妻にも笑顔で話した。
「洗うのも楽だし寝癖もつかないしな」
「いいこと多いのね」
「ああ、だからな」
「これからは」
「ずっと丸坊主でいるよ、髪の毛がなくなっても」
「それなら目立たないしね」
「これでいるよ、もう髪の毛が減っていっても」
 それでもというのだ。
「これなら目立たないし」
「それじゃあね」
「丸坊主でいくよ」
 こう言って実際にだった。
 原田はずっと丸坊主でいった、髪の毛は減っていってもそれは目立たずしかも手間もかからずだった。
 彼は快適に過ごせた、髪の毛のことはどうでもよくなっていた。あまりにも快適なので。


丸坊主もよし   完


                  2022・10・23
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