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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第130話:剣が砕かれ、雨が降り注ぐ
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「ハン、ス? ん? んん?」
「貴方の事です、ハンス」
「ハンス? 俺、ハンス……? あぁ、俺、ハンス……」

 漸く自分の名前を思い出したかのような反応をするハンスに、レイアが溜め息を感じさせそうな声で呟いた。

「最近、地味に酷くなっているな」
「? 何が?」
「ちょっと来いッ!?」

 依然として茫洋とした反応しか見せないハンスに、キャロルは痺れを切らしたように玉座を立つと彼を引っ張っていく。
 去り際に残ったオートスコアラー2体に指示を出しておくことを忘れない。

「俺は少しコイツと席を外す! お前達はその間に次の準備を整えておけ!!」

「畏まりました、マスター」
「直ぐに取り掛かります」

 ファラとレイアに見送られてキャロルがハンスを引っ張っていったのは、プライベートルームとも言える寝室であった。キャロルは室内にハンスを引っ張り込むと、彼を乱暴にベッドの上に放り投げた。

「ふんっ!」
「ぅおっ……」

 乱暴にベッドの上に寝かされたハンスが体を起き上がらせる前に、キャロルがその上に馬乗りになる。その状態でキャロルがベッド横のサイドテーブルの引き出しを開けると、そこには目を背けたくなるような拷問器具が乱雑に放り込まれていた。しかも恐ろしい事にその拷問器具には、何度も使用した跡が垣間見える古く固まった血がこびり付いていた。

 キャロルは引き出しの中から適当に歪な形をしたナイフのようなものを取り出すと、それを躊躇なくハンスの肩に突き刺した。

「ぎっ?!」

 肩に走る激痛に一瞬悲鳴を上げるハンスだったが、次の瞬間には苦痛に歪んだ顔に笑みが浮かぶ。その笑みを見て、キャロルもまた歪な笑みを浮かべた。

「ハンス、お前私の事を忘れそうになったな? 許さないぞ、私の事を忘れるなんて――――!!」

 キャロルは何度もナイフをハンスの体に突き刺し、引き裂き、流れ出た血を舐め取り恍惚の笑みを浮かべる。

「駄目だよハンス。私の事、ずっと覚えててくれるんでしょ? 私を1人にしないんでしょ? ずっとずっと一緒に居てくれるんでしょ? なら、覚えててよ、この痛みと一緒に!」
「がっ、うっ!? あ、ああ……キャロル。俺はお前を忘れない、忘れたくない。だから、俺にお前の存在をもっともっと刻み付けてくれ。俺の傍に、お前がずっと居てくれるように。お前の傍に、俺がずっと居られるように!」
「あぁ、ハンス!!!」

 その後も、キャロルによるハンスへの拷問は続いた。部屋の中が血だらけになる様な惨劇が繰り広げられていると言うのに、2人の顔は上気しまるで男女が愛し合っているかのように恍惚の笑みを浮かべ続けていた。




***




 一方、S.O.N.G.では先の共同溝
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