第八十二部第三章 国債の発行その五
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「護身用、そして狩猟にも使います」
「自分の身体を守るものであるので」
「ナイフ等と同じで」
「一定の売れ行きが期待出来ますね」
「これは。そして軍服や軍靴ならです」
軍人達が身に着けるものはというのだ。
「普通に売れます」
「左様ですね」
「ですが兵器になりますと」
「研究と開発に莫大な費用がかかり」
「しかも市場は限られている」
「採算の取れにくいものです」
それが軍需産業だとだ、ローエンハイムはシェリーニに話した。
「ですから当家はです」
「軍需産業についてはですね」
「最初から進出していませんし」
「これからもですね」
「そのつもりはありません」
「採算が難しい故に」
「今申し上げましたが艦艇やミサイル、大砲等を売るよりは」
そういったものよりもというのだ。
「服や靴の方がです」
「採算を取りやすいですね」
「若しくはプロのスポーツチームの親会社かスポンサーになり」
ローエンハイムは今度はこうした話をした、蛸のマリネを食べつつ。
「常に、それこそ毎日ネットやマスコミで企業の名が出る方が」
「いいですね」
「多少赤字になろうとも」
スポーツチームの経営によってだ。
「ですがそれでもです」
「宣伝になるからですね」
「そのチームがネットやマスコミで名前が出ると」
「それで、ですね」
「企業の名前が出ます、実際に当家もあるサッカーチームのスポンサーをしています」
「そうしてですね」
「利益を得ています」
宣伝によってというのだ。
「それもかなりの」
「左様ですね」
「金銭では赤字です」
「それだけを見ますと」
「はい、スポンサーに過ぎないので」
「しかもですね」
「チームは低迷気味で」
スポンサーをしているそのチームはというのだ。
「観客動員も今は伸び悩んでいまして」
「経営としてはですね」
「赤字です」
金銭面だけを見ると、というのだ。
「実は。ですが」
「それでもですね」
「毎日何かとです」
「ネットやマスコミで名前が出るので」
「こんないい宣伝はなく」
そしてとだ、ローエンハイムは蛸の味を楽しんでいるシェリーニに話した。味だけでなく食感もそうしているのがわかった。
「利益としてはです」
「かなりのものですね」
「こんないいものはありません」
スポンサーとしては赤字でもというのだ。
「それでもです」
「左様ですね」
「ですが」
それでもとだ、ここでローエンハイムはさらに言った。
「軍需、兵器産業は」
「採算が取れない」
「はい、あれだけ採算の取れないものはないかと」
こう言うのだった。
「当家の考えでは、そして」
「卿もですね」
「そう考えています」
こうシェリーニに話した。
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