第百二十八話 一同、泉で泳ぐのことその五
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「だからね。いいわね」
「油断したらあの中よ」
「それだけは勘弁して欲しいな」
文醜の顔は今は笑ったものではなかった。
深刻な顔で滝の方を見ながらだ。そうして言うのだった。
そしてだ。文醜はだ。二人にあらためて言った。
「で、これから何するよ」
「泳ぐか食べるか?」
「どっちにするかっていうの?」
「遊ぶ選択肢もあるだろ」
文醜は第三の選択肢も出した。
「それもな」
「そういえばそうね」
「言われてみれば」
「じゃあどうするんだい?遊ぶかい?」
「じゃあ鞠でも使って」
「遊ぼうかしら」
二人も文醜の誘いに乗ってだ。そのうえでだ。
泉の中で鞠を投げ合って遊びだした。その遊びを見ながらだ。
山田十兵衛はだ。いやらしい目でこう言うのだった。
「といのう、ピチピチのおなごばかりじゃて」
「あのな、爺さんいいか?」
マイケルがその山田に声をかける。彼は黒のトランクスタイプの水着だ。
「あんた泳がないのかよ」
「うむ、そのつもりはない」
「だからかよ。そうやって女の子ばかり見てるのかよ」
「その通りじゃ」
見れば彼は赤褌である。しかし水に入ろうとはしない。
そのうえでだ。ずっと女の子達を見て目を細めさせているのだ。
その山田にだ。マイケルは呆れた顔で言った。
「そんなのだからスケベ親父って言われるんだよ」
「親父か?」
「いや、爺さんだな」
マイケルは自分の言葉を訂正した。
「あんたはそうだな」
「親父と言えば俺だろう?」
フランコがぬっと出て来た。膝までのびっしりとした緑の水着である。
「俺なんかを言うんだよ、親父ってのはな」
「その通りだけれどな。しかしな」
「しかし。どうしたんだ?」
「いや、あんたは親父は親父でもスケベ親父じゃないんだな」
マイケルはフランコにもこう言うのだった。
「特にな」
「俺羽女房にしか興味がないからな」
これがフランコの返事だった。笑顔でマイケルに話す。
そしてそのうえでだ。彼はこんなことも言った。
「だから特にな」
「それでいいっていうんだな」
「他の女の子には興味がないな」
こう言い切る。
「だから俺はここで肉でも食ってるさ」
「そうなんだな。で、爺さんよ」
マイケルはまた山田に声をかける。
「あんたはもうずっと見ているんだな」
「その通りじゃ。女の子はいいものじゃ」
相変わらず目を細めさせている山田だった。
「目と心のいい保養じゃ」
「確かに気は若いな」
「そうじゃろう。それではじゃ」
「ああ、それでなんだな」
「もっとお姉ちゃんを見るのじゃ」
こう言ってだ。周囲をその目で見ていく。
サングラスもしていない。そうして見てだった。マイケル達に言うのだった。
「あれじゃな
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