助けよう
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「ウィザードに、ガンナー……前回お会いした皆様もおそろいで……あの化け物は、相当な手練れのようですわね……」
金色の眼で、狂三はイリスを見上げる。
「まさか、セイヴァーのマスターまで苦戦するとは……もう一人のわたくしを倒したあの力を使わないのですの?」
「あはは、もう祭祀礼装を使ったんだけど、倒せなかったんだよね」
「……あの力でも倒せない参加者、ということですの?」
狂三は眉をひそめた。
どんどん増えてくる敵対勢力の存在に、イリスは静観することを選んだようだ。
触手を蠢かせながら、こちらを見下ろすイリス。
その巨体へ、リゲルがゴーグルを通して目を細めた。
「これは……奴の体内にいる、アイツのマスターだけど……どんどん同化していってる」
「同化?」
ハルトの疑問に、リゲルは頷いた。
「このままだと、奴の一部になるってことよ。多分、ムーンキャンサーの目的はそれね。マスターと完全に融合して、その生命エネルギーを永遠の苗床とするってところかしら?」
「苗床?」
「ええ。奴はメスって言い方でいいわね。身体構造の作りから、単体生殖の可能性が高い。多分、同類の生物を一日もあれば沢山生み出せるわね」
「奴と同型の生物を、無数に現れるっていうのか……?」
ハルトは知る由がなかった。
以前、響、アンチとともに見滝原南で戦った怪鳥型の生物。
それこそが、イリスと同じ遺伝子を持つ生物であり、イリスが大量に生み出そうとしているものだったのだ。
「残念だけど、あのマスターを始末するしかないわね」
リゲルが告げた非情な結論に、ハルトと真司は顔を引きつらせた。
だが、リゲルは続ける。
「奴のフルスペックは、マスターの生命力を吸収して発揮しているわ。マスターを始末すれば、おそらく奴は今以上の脅威にはならない」
「でも……どっちかだけを助けるなんて、絶対間違ってる」
真司は言い張った。
「俺は、誰の命も諦めたくない。リゲル、アンタの言ってることは正しいんだろうけど……でも、それは認められない。認めたら……」
真司はそこで言葉を濁した。
彼が小声で「結局運命を……変えられないってことじゃないか……」と呟いていたのを、ハルトは確かに聞いた。
「……予め言っておくわ」
リゲルの声が、少し冷たくなる。
それが、あまりにも無謀であることを、彼女の美しくも鋭い目が語っていた。
「奴のマスターの命を諦めれば、純粋にムーンキャンサーを倒すことだけで、この騒ぎは終わる。でも助けるとなると、話は別よ」
「待って下さい」
リゲルに、ぴしゃりと苦言を呈する者。
それは、えりか。
さきほどまで活躍していた盾を羽衣のように畳
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