第八十二部第三章 国債の発行その三
[8]前話 [2]次話
「蛸はそうすると言われていますね」
「追い詰められると」
「こうした借金の仕方は」
「よくないですね」
「それは破滅に至ります」
「だからこうした場合の借金は」
こうローエンハイムに話すのだった。
「よくないですが」
「発展の為の借金は」
「いいかと。追い詰められてその場凌ぎは」
「より事態を悪化させますね」
「しかし」
「発展に使うなら」
「それならば」
まさにというのだ。
「いいのです」
「借金も」
「伯爵の経営は」
「常に安全を」
これをとだ、ローエンハイムは答えた。
「心掛けています」
「だから借金はですか」
「はい」
どうにもとだ、ローエンハイムはシェリーニに話した。
「しない様にしています」
「そもそも借金をしない様な」
「慎重な経営をです」
それをというのだ。
「心掛けていて」
「お国においてもですね」
「はい、我が国においても」
オーストリアでもというのだ。
「そこはです」
「気をつけて」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「私の一族の企業グループの経営も進め」
「オーストリア財界でもですね」
「皆さんにそうお話しています」
「安全かつ慎重に」
「そして借金も」
それもというのだ。
「心掛けています」
「左様ですか」
「はい」
そこはまさにというのだ。
「そうしていましたが」
「それがです」
「今のエウロパはですね」
「逆に国債を発行しなければ」
さもなければというのだ。
「何も出来ず」
「復興どころかですか」
「経済は破綻し」
そしてというのだ。
「破滅していたでしょう」
「エウロパ自体が」
「若し世界恐慌の時にヒトラーがああした政策を行わなれば」
「シャハトを登用してですね」
「さもなければ」
国債を大々的に発行しそのうえで公共事業を行い軍需産業も復活させなければというのだ。
「ドイツは世界恐慌でどうなっていたか」
「あの時のことは私も学びました」
ローエンハイムはサラダを食べ終えてからシェリーニに述べた。
「あの時のドイツ、オーストリアもそうでしたが」
「国家財政が破綻しましたね」
「世界恐慌の影響を受けて」
「途方もないインフレーションに陥り」
「そうでしたね」
「そしてでした」
その結果というのだ。
「ドイツ経済はどうにもならなくなりました」
「あの時は」
シェリーニは話した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ