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続く因縁も
第一章

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                続く因縁も
 吉本英は実は父の俊三とも母の美香とも血はつながっていない、父の兄夫婦の子であったが実の両親が事故死してだ。
 幼い彼は彼から見て叔父夫婦に引き取られ養子になったのだ。それが一歳の時で中学校に入るまでずっと彼一人が子供だったが。
 中学校に入った時に義父母の間に娘が生まれた、妹で名前は純といった。
 義父母は二人を公平に育てた、それで黒髪をスポーツ刈りにし長方形の顔に実の父譲りというバタ臭い感じの顔に長身で実の母譲りという白い肌の彼に言った。
「お前も純も一緒だぞ」
「私達の子供よ」
「だからな」
「英も純を大事にしてあげてね」
「わかったよ」
 英は優しさが顔にも出ている両親に笑顔で応えた、これまで養子でもそれで何か思うことはない位に大事に育てられたこともあってだった。
 英は純に兄として接した、そのうえで。
 大学を卒業すると就職して大阪に出た、それから結婚して彼は時々実家にその妻と帰ってきていたが。
 純が高校を卒業して二年程度経って職場で知り合った夫の雄吾きりっとした顔で面長で黒髪は短く一八〇近い長身ですらりとした彼と結婚してだ。
 一年程経った時に状況は一変した。
「えっ、義兄さんがなの」
「ああ、奥さんと一緒でな」
「事故でね」 
 両親は大きな目を持ちピンクの小さな唇と母譲りの茶色の癖のある髪の毛を肩の長さにした一六二程の背でスタイルのいい彼女に話した。
「二人共ね」
「そうなったとのことだ」
「急ね、けれどそれって」
「兄貴夫婦と一緒だよ」
「あの子の実のご両親とね」
「そうよね、それでなのね」
 純は沈痛な顔で述べた。
「義兄さんこの前子供が出来たって喜んでたけれど」
「章枝ちゃんな」
「まだ六ヶ月よ」
「赤ちゃんよね、どうしようかしら」
「僕達で引き取らないか?」 
 ここで一緒にいた夫が言ってきた。
「そうしないか?」
「私達がなのね」
「うん、僕も義兄さんにはよくしてもらったし」
 時々会う彼にはというのだ。
「何よりも赤ちゃん一人だと」
「生きていけないわね」
「だから。どうかな」
「そうすべきね」
 確かな声でだ、妻は夫の言葉に頷いた。
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