第一章
[2]次話
三年銀杏
日向美来は旧姓大隅といったが結婚して今の名字になった、背は一五〇位ですらりとしたスタイルで黒髪をセットして長く伸ばした童顔の持ち主だ。愛嬌のある顔で知られている。
その彼女が結婚して妊娠してだった。
安産の願掛けに二人が同居しているマンションの近所にある神社に参拝した後でその話を夫と両親に話すとだ。
夫の義弘顎の先が尖っていてやや切れ長の目と細い眉に癖のある黒髪で一七四程の背の痩せた彼は何とも思わなかった、義父の忠直眼鏡をかけた夫そっくりの顔で白髪をオールバックにした夫と同じ様なスタイルの彼もだったが。
義母の夏美いささか神経質そうな感じで一六〇程の背で痩せた黒髪を束ねている彼女はこう言った。
「あそこの銀杏の木に触った?」
「銀杏?あの大きな」
「あそこに触った?」
「傍を通っただけですが」
「ならいいけれど」
義母はほっとした顔で述べた。
「あの木は妊婦さんは触れたら駄目なのよ」
「そうなんですか」
「妊婦さんがあの木に触れたらね」
そうしたらというと。
「何でもあの木は妊婦さんが嫌いで」
「それで、ですか」
「呪いをかけてね」
そうしてというのだ。
「三年以内に殺すらしいのよ」
「そんなお話があるんですね」
「だから触れなかったからいいけれど」
それでもというのだ。
「気をつけなさいね」
「はあ」
美来はただ聞くだけだった、だが。
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